「ニワトリって錬金術師なの?」とある医師の元素転換

布施純郎さんという医師の方がツイッターで発言した内容が最近よくTLに流れてくる。
天然のビタミンCと合成のアスコルビン酸は全く別であるとか、グルタミン酸ナトリウムは甘みを呈する物質であるなど色々と興味深い内容の発言が多い。

■微生物で元素転換?
最近は、微生物による放射能除洗関連で元素転換がおこると述べたところ*1、について、そんな事は起こらないとの反論があり、原素転換*2が起こることについて徐々に認められつつある*3と、再反論を行っている。
その論拠として示した例が、どらねこにとってとても馴染みのあったもので、思わず「ギョッ」としてしまったのだった。

https://twitter.com/Drponchi/status/374478191110262784より
@tasketss こういう実験が明らかになりつつあります。「ニワトリにカルシウムを全く与えないと、殻のない卵を産むようになったが、カルシウムは遮断したままカリウムを与えると、カルシウムの殻に包まれた卵を産むようになった。ニワトリの体内で原子核融合が行われている。」

■無双原理
この「」で囲まれた部分は、どらねこが再三にわたり批判してきたマクロビオティックをうみだした桜沢如一氏の著作に酷似したエピソードを見ることができる。

桜沢如一著 無双原理・易 p198より
その実例(一)カルシューム不足のため、カラのない卵しか生まなくなり、ノイローゼになったニワトリに、雲母を少し与えるとニワトリは生まれて初めてお目にかかつた雲母をまたたく間にたべつくし、二十四時間後には立派に固い殻のある卵を生む。ニワトリの血液が原子転換能力をもつている証拠である。雲母の主成分たるKやCaに転換したのである。

これは桜沢氏が世紀の大発見として非常にプッシュしたルイ・ケルブラン氏の生体内元素転換エピソードの一つであるが、ケルブラン氏の業績を日本語に翻訳したのもまた桜沢氏である。
彼の主張が本当であれば、エネルギー問題や資源の問題など全て解決する物理学の根底を揺るがす大発見であるが、その報告から数十年経った今でも、まともに再現された事もなく、一部界隈で散発的に話題になるぐらいである。しかしながら、「明らかになりつつある」*4としつつも数十年ぐらい前に既出の例を持ち出してくると謂うのも少し寂しい話ではある。

これについては、拙エントリトンデモ化学方程式の謎で言及しているので興味のある方は参考にして欲しい。

一般論ではあるが、常識をぶち壊すような驚くべき発言については、発言者にソースを求める事が大事であるし、そのソースが何処から持ちだされたものかも吟味する必要があるだろう。もし、それが十分に検証できないような場合には、常識と外れているものほどそのまま信用せずに判断を保留*5することが大事になるとどらねこは思うのです。
これも一般論だが商売の鉄則は、早く早くと急かせたりするところにあるのだから・・・

*1:https://twitter.com/Drponchi/status/374465194946097153

*2:元素か原子と思うが氏のツイートではこう表記

*3:こちら参照https://twitter.com/Drponchi/status/374477426971000833

*4:ソースは船瀬さんだから、自分が確認したわけでは無いと述べるかも知れないが

*5:例えば、誰かからきいたエピソードとして、それが誤りであると指摘された場合、自分の発言じゃないからと述べるのは自由であるが、誤りである事が分かったのなら、そうした誤りが多い人の発言を信用しなくなる若しくは周囲に広めなくなると謂うのが誠実な態度と謂えるでしょう。そうした慎重さは情報の発信受信者双方に求められるものなのですね