これって危険?それとも買っても大丈夫?(対策編)

「これは買ってもいい、これは買っちゃダメ」というような本が相変わらず人気があるという。こうした安易なより分けが受け入れられるような素地などについて、前回エントリでは考えてみましたが、今回はじゃあどうすれば良いのだろう、という具体的な対策をどらねこなりに考えてみました。



■ムリ
この「ムリ」というのは、これは危険だ!買ってはイケナイと、他の人に積極的にアドバイスをしている人や、既に食品選択の際にかなりの割合で採り入れている人についての意味でして、ちゃぶ台返しではありません。こうした人たちについては、これまで費やした労力が大きいほど、費やした労力に意味が無いことを受け入れることが容易ではない、という傾向*1が人間にはあるため、説得はたいへん難しいと考えるからです。
なので、個人レベルで実践できるような対策というものは、まだ生活に採り入れていない人や半信半疑の人に対するアプローチという事になるでしょう。



■どう伝える?
はまってしまう前に伝えるのわけですからそれは予防的なものになりますが、特に何も起こっていないのに矢鱈とそうした情報には気をつけなさいよとみんなに話して回るというわけにもいきません。不審人物にみられてしまうおそれもありそうです。そうなれば話している内容の信憑性も疑われてしまうからです。
予防とはいえ、流行の兆しを感じたときに対応するというような防戦から始まるものかなぁと思います。例えば・・・
「○○くんのお母さん、子供のたべものには気をつけてるんだって。ほら、アトピーあるじゃない」
というような世間話の中に予防のための意見をいれていく感じでしょうか。




■先回りする
世間話とはいっても「なんとなく話題にした」のか、「実は気になっている」のか、「同意を求めるため」なのかという違いがあり簡単にはいきませんが、相手が「どう思う〜」と振ってきたのなら、一応礼儀として「あ〜あるよねぇ〜」とか「うんうん、たいへんだねぇ〜」という共感の相づちは行っておきたいところです。そのあとに「○○は危険!」という話に対するカウンターとなるような情報を上手にいれてあげると良いと思います。
この時にはなるべく当たり前のような顔を作って、実名や実例をだして情報を提供すると良さそうだと考えております。

【電磁波はコワイ、子供がキレる原因になったりガンができたりする】という話題に対して


「うんうん、それ自分も聞いた事ある、なんかコワイよね〜。でもでも、その後になんか電磁波に対抗するためとかで商品紹介されたりとかするんだよね。前にそんな人が来て、波動測定器モフモフゴールドとかいう商品売りつけられそうになっちゃったのよ。後で聞いたら、中に猫をいれて測定するだけのインチキだったのよ。あとでモノを紹介するようなのが多いから気をつけてよね」


ちょっと難しいかもですが、「変なモノ売りつける人もいるからその話題気をつけたほうが良いよ〜」くらいはできるんじゃないでしょうか。

その他、子供が健康に問題を抱えてしまう前に情報提供するというのも大事だと思います。アトピービジネスの存在や、その時にステロイドの危険性をやたらと訴えかけてくるという手法とセットにつたえるという感じですね。



砂糖や肉はキレるからダメ!→マクロビオティックを!


予防接種は危険→ホメオパシー


被災地の食品汚染が深刻だ→EMで除洗

こうした対策をすすめる理由は、○○が危険であるという話を聞いて、他の人にも奨めたい・・・となるまでのハードルを高くすることができると考えるからです。半信半疑の人が思いとどまってくれる事で、情報の伝播をとどめることが期待でき、子供の事で不安が多く判断力が低下している人にそうした情報が届くのを防げるかも知れません。




■どうやって気をつけたら良いの?という人へ
ここまでは、特に意識していない人へ注意喚起を促すというような対策でしたが、ひっかからないために見分け方を知りたいという人に対する情報提供も同じように大事かと思います。この項ではそのあたりを考えてみようと思います。
有用な情報なのか危うい情報なのか完全に見分けることなどはできませんが、怪しいなと思ったらすぐに飛びつかないというような姿勢がとても大事かと思います。

【コレはアヤシイのでは?という情報にありがちな特徴】


コレは○、アレは×のように問題を単純化している


○○はコワイとやたら恐怖を煽るけど示されている例は体験談だけ


○○の害・・・の実例が数十年前の事例


西洋医療と東洋医療に分け、前者を悪者にしている


メリット・デメリットを天秤にかけず、デメリットばかり強調する


簡単には治らない病気などに効果があると示唆している


○○の危険はコレを使えば解決と、それだけで解決できるとうたっている


農薬、ステロイド食品添加物放射能などがキーワードである


天然だから安心、人工だから危険と単純化している


量に関係なく少しでも危険だから食べるなという


有名人が使っているから安心

まだまだありますがこれぐらいで。



■背景にも目を向けて
前回エントリでも述べましたが、子供が健康問題などで苦しんでいるのに何もできない・・・というのはそれだけで苦痛です。なので、何かやってあげたいという気持ちから、善意の相手に勧められるままに効果の不確かなものに手を出してしまいやすいという傾向があります。
こうした心理に追い込ませないためにも、不安の行き先をつくる事、独りだけで抱え込む問題ではない*2ことなどのバックアップなども、予防のために必要な事と思います。
また、買ってはイケナイというような情報には食品が関連するものが多い傾向にありますが、健康に関わる重大な情報なのに、義務教育以降に確からしい知識を身につける場所がほとんど無い事も関係しているのかも知れません。教えられていないことでも自己責任だから自分の身は自分で守れといわれても、忙しい子育て世代には自分で一から調べる様な余裕など最初から無かったりしますし、健康なときにはそうした情報の大切さにはなかなか気がつけないものです。
これらの問題は個人レベルではどうしようもなかったりするので頭の痛いところです。



■よい対策はあるの?
反映される可能性は低いと思いますが、どらねこの考えを述べておきたいと思います。
「○○は危険で△△は安全だ」というような主張の説明として書かれているものには、義務教育レベルの知識やちょっとした前提知識があればオカシイと気がつくようなものが良くあります。なので、子供を持つ事になる両親がある程度真剣な気持ちで知識を習得できる場所があれば、ある程度予防も期待できるんじゃあないかと思います。
現状の施策とリンクできると導入も楽だと思いますので、母親学級(父親)などで予防接種の話とともに健康不安を煽るような情報への注意喚起を行うと良いのではと考えます。具体的には消費生活センターなどと連携して冊子を作成し、医師、保健師自治体の公衆衛生担当者などと連携をして、前提となる大事な知識を提供して欲しいと願います。
冊子の中身についても、子育てに直接役立つ情報を入れ、よくある不安についても先回りができるようなものにすることで、読んでいただけるんじゃないかな、と思います。



■おわりに
コレだ!といえるような対策がないのに、対策編を書くとしてしまったため色々と苦しみましたが、「こんなアイディアもあるよ」というような提案や議論の切っ掛けになれば嬉しいです。

*1:認知的不協和理論などで説明されるような傾向

*2:子育てに対する母親偏重の問題が関わる部分ですが、親の努力が足りないから子供が・・・という外野からの発言が親を追い詰めるなんて事も良くあります。そもそも、親の努力不足で子供が具合を悪くしたのかすら定かでも無いわけですが。「努力は報われるモノ」、「悪い行いには天罰が」といような公正世界幻想を人が持ちやすい事とも関係しているでしょう。この幻想は、複雑にからみあって生じた問題について解きほぐして考えよう・・・という方向に進みにくくさせるように個人的に感じていたりします。アトピーをはじめとするアレルギーや、発達障害など親を悩ませる子供の健康問題は、確からしさの無い善意と努力により解決できるほど単純な問題ではないからです。