今更感との闘い

昨日のエントリでは、マクロビ保育園からの素敵なおみやげを紹介したのだが、実はマクロビ保育園推奨図書として、妻が購入した本と合わせると5冊も我が家には存在する事になる。

誰も期待してないだろうが、その一つに突っ込んでみよう。
−出口のない毒経皮毒

?「へぇ〜経皮毒かぁ、しゃんぷ〜ってコワイのねぇ。無添加石鹸買おうかな」
ガラッ
?「あ、おかえり」
どらねこ「また勝手にネコんち入ってるし、今日は何の用事?」
ポニョ子「ミツドン知らない?今日も見あたらないのヨ」
どらねこ「だから、ミツドンさんとは一緒に暮らしていないんだってば。・・・確か、有名避暑地に慰安旅行に行くってハイクに書いてあったような」
ポニョ子「ふ〜ん、どうせ大した用事じゃなかったから、もういいや。それよりこのマンガ、猫の?今日からリンスできないじゃないのよ、アンタ責任とってくれる?」
どらねこ「いきなりなにさ!あ、勝手に読んだな。コレは息子達が通うマクロビ保育園で配布された本じゃないか!!」
ポニョ子「経皮毒ってコワイのね。デトックスメニューを考えないと・・・」
どらねこ「って、簡単に騙されてるし。そもそも経皮毒って概念は竹内久米司さんが著書で述べた概念で、学術用語でも何でもないんだよ」
ポニョ子「そんなの資本主義社会では当たり前でしょ。大企業の陰謀ヨ。天下りで癒着なのヨさ」
どらねこ「キャラ変わってない?大丈夫?」
ポニョ子「大丈夫なわけないでしょ。一日3回、シャンプーとリンスで合計ええと、365×3×○○ねんで・・・ああ、もう羊水がリンスの香りでフレグランス!!」
どらねこ「妊娠してないから羊水無いでしょ!って、それ以前に羊水に蓄積しませんから」
ポニョ子「そういったデータは企業が隠しているのよ。真弓センセーだって、安全性は企業が証明するものだっていっていたし。汚いよ、企業汚い!」
どらねこ「ああ・・・もう」
ポニョ子「企業は証明できないけど、真弓センセーはデータを提示しているのよ。アンタも読みなさい↓の四角を。

子宮内膜症の患者は全国で12万人を超えると言われ潜在患者数はその数倍になるでしょう。数十年前まで若者にはほとんど見られなかったこれらの病気がなぜ今急増しているのか?
シャンプーやリンスに含まれる化学物質が経皮吸収され、女性ホルモンと同じような作用をするからではないかと多くの学者が指摘しているのです!

どらねこ「証明責任があるのは、くだらない言いがかりをつけている方だと思うけどなぁ。もちろん、重大な健康被害が予測されるなら直ちに対処はされるべきだとは思うけどね。↓を見てよ。ちゃんと一般に発表されている統計*1だよ」

どらねこ「子宮内膜症は一時期増加しているけど、その後の傾向は減少に向かっているよね。子宮筋腫は急増どころか増えても居ないよ。この本は第2版平成20年4月22日だから、これらを参照することは容易いはずだよね。これらの根拠に対しての説明責任は彼らに在ると思うのだけどね」
ポニョ子「でも、実際に羊水からシャンプーやリンスのにおいがしたって言ってる人が居るんでしょ」
どらねこ「産科医療の現場は凄く大変なのだと思うけど、自分の知る範囲では、これから産まれる〜って連絡が入ると夜中でも呼び出しが入って、急遽出勤なんてざらなんだと思うよ。お風呂上がりでも駆けつける事なんて普通にあると思うんだ。そうなると出産現場に湯上がりの残り香が漂っていても不思議じゃないよね?」
ポニョ子「う〜ん、まあ、納得はできない事もないような・・」
どらねこ「この本では、世の中の情報には懐疑的になれといっているけど、肝心なところは恐怖描写を多用して、実は彼らにとって都合の良い結論に誘導しようとしているんだよ」
ポニョ子「な〜んだ、出鱈目だったのネ。今日からシャンプ〜とリンス一日に4回にしよっと。アリガトね猫」
どらねこ「あ、待って、それは別の面で・・・ああ、行っちゃったよ。しかたないなぁ」


以下猫の独り言(酔っぱらい)
界面活性剤がコワイというなら、ふつーの石鹸だって界面活性剤だろうに。界面活性剤とともに体に害を及ぼす物質が吸収されると百歩譲って認めたとしても、羊水に蓄積するとは考えられない。リンパ行性だとしても、いずれは肝臓で代謝を受けるだろうし。あと、リンスの香りって何だよ!!香り成分はリンスの毒性(?)と何ら関係は無いだろう!あほくさい。
但し、シャンプーやリンスで皮膚トラブルということは起こりうると思う。だが、それらは経皮毒という概念を無理矢理導入しなくても説明できるだろう。ある特定の物質に反応する接触性皮膚炎の人はシャンプーやリンスにより皮膚炎を発症する事は有り得るし、界面活性剤により、皮脂が過剰に取り除かれれば、表皮ブドウ球菌が住みにくい環境となり、皮膚トラブルが発症してもおかしくない。物理的にも、湿潤環境が保ちにくくなり、乾燥して肌荒れを来してしまうことだろう。
過ぎたるは及ばざるなんとやらだ。
でも、一番コワイのは
マクロビや経皮毒などのニセ科学を信じ切った親の元で、このような本と慣れ親しんでしまう子供達が居ることなのだ。
親を信頼する子供の心を裏切らないで欲しい。
悪いのはお母さん、お父さんじゃないんだ。




あ、そうそうブコメで、ニセ科学批判に足りないものとして『漫画のような楽しいアイテムが足らない。』というご意見がありましたっけ。
どらねこの頭では思いつかないので、どら妻画伯の新作を貼っておく。

*1:厚生労働省平成17年患者調査報告(傷病分類別)より