将来推計

ちょっとしたどらねこが個人的に感じたことです。

■日本の将来推計人口が発表された
先日、平成24年1月推計の将来推計人口が国立社会保障・人口問題研究所から発表された事をニュースで知りました。実際は統計データをあたるのでニュースで論じている内容については特に参考にしないのですが、最初に目にした記事の見出しをみて、「おや?」と思ったのでその他ネットに配信されている他紙の見出しを幾つかグーグルニュース検索を用い*1調べてみました。

毎日新聞 2012年1月30日 東京夕刊http://mainichi.jp/select/wadai/news/20120130dde001040004000c.html
将来推計人口:2048年に1億人割れ 60年に8674万人、高齢者4割に−−厚労省研究所

数字のインパクトはありますね。

スポニチアネックス 2012年1月31日 06:00 http://www.sponichi.co.jp/society/news/2012/01/31/kiji/K20120131002540260.html
「超高齢化」さらに進行!2060年40%が65歳以上

更に進行が気になります。

時事ドットコム 2012/01/30-10:59http://www.jiji.com/jc/c?g=soc&k=2012013000133&j4
出生率1.35に上方修正=高齢者、30年後にピーク−人口推計・厚労省

MSN産経ニュース 2012.1.30 10:19http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120130/plc12013010220006-n1.htm
2060年、総人口8674万人に 減少数は1都6県消失規模に

大きなインパクトはあります。

防府日報:防府日記2012年1月31日
子ども激減
−本文より−
1月30日、厚生労働省国立社会保障・人口問題研究所は2011年か2060年までの、衝撃的ともいえる将来推計人口を発表した。

衝撃的だそうです。

日本経済新聞 Web刊2012/1/30 11:08
95年生まれ世代、5人に1人が生涯未婚 人口推計 出生率上昇は一時的 初婚年齢28.2歳見通し

すこし別の視点ですけどちょっと微妙*2かも


■前回との比較
どらねこがこれらの見出しに違和感を持ったのは、前回の報告である平成18年12月推計の結果が頭に残っていたからです。「衝撃的ともいえる結果」なんて謂われても、前回の方が衝撃的だから今回は少しほっとしたよ、なんて思ってしまいます。「少子高齢化さらに進行」も基本的には毎日進行しているし、これも前回に比べマシな推計になっているはずです。勿論、上方修正されていることを分かりやすく示した記事もありますけれどね。
では、簡単に前回と今回の将来推計人口を比較してみます。データは国立社会保障・人口問題研究所のページより『日本の将来推計人口(平成24年1月推計)』(結果の概要)をpdfで、統計表をexcelデータで見る事が出来ます。その推計方法はpdfの概要p8から書かれており、必要に応じて参照してください。
http://www.ipss.go.jp/syoushika/tohkei/newest04/sh2401top.html

日本の将来推計人口(平成24年1月推計)と日本の将来推計人口(平成18年12月推計)【表1-1 総人口、年齢3区分(0〜14歳,15〜65歳,65歳以上)別人口及び年齢構造係数:出生中位(死亡中位)推計】からデータを抜粋したモノが次の表です。

見て頂ければ分かりますが、1億人を下回るのが前回は2046年と予測されていたところ、今回は2048年となっており、減少スピードは緩和されると見込まれております。

■気持ちは分かるけど
今回の推計で若干持ち直したモノの未だ深刻な状況であることは間違い無いでしょう。だから、マスメディアも問題意識を持ってもらおうとセンセーショナルな扱いをしたとも考えられなくもありません。しかし、実際のところはマスメディアも前回の結果を参考に先行きや政策のあり方などに対し、読者に向けて提言をしてきたと思うのですね。
そう考えるとなんとなくシラジラシイようにどらねこは感じてしまうのです。今回の発表で突然明確になったような問題でもなんでもなく*3前から抱えている問題でありその深刻さは前回より大きく感じていたはずなのですから。

■どらねこの思う事
さて、前回こそが最悪(?)の推計結果だったわけでしたけど、今回すこし持ち直した事はどう評価すれば良いのでしょうか?
日本の国土を考えればそれでも多いとも考えられますが、急激な人口構成の変化は社会に大きな混乱をもたらしますので、それまでの軟着陸を求めるのは多くの人が合意するところだと思います。その為にも、前回からすこし上昇した合計特殊出生率を今後も改善させる事を皆で目指しても良いと思うのです。安易な思いつきかも知れませんが、子供の学費をほとんど心配しなくて良いような制度設計や、子育て世代の年収に配慮するような賃金体系の導入に企業が取り組むとか、有給休暇の取得を当たり前にできる環境整備などでしょうか。
この辺りは色々な意見があるとは思いますが、今みんなが協力しないでどうするのかな、なんて思ってしまうのです。

*1:同じ新聞社でも複数記事をアップしているところもあり、社会面のニュースから社説など扱いは違います。またそれらをピックアップにはどらねこの判断も入っているのでまったく公正なものではありません。気になる方は調べてみても面白いかも知れません。

*2:タイトルと本文は別と謂う話もありますがそれはそれとして、出生率は確かにそのような推計だけど実は前回推計では中位でも全ての期間にわたり合計特殊出生率は1.3未満で推計されていたが今回の統計はどの年でも上回った推計になっている。そういった誤解も招きそう

*3:だいたい、この報告が発表されなくても人口動態統計は毎年発表されてるわけで、だいたいの動向が分からない記者さんなんて居ないと思うし