美味しんぼと成分表


どらねこは騙されやすい純真なネコである。そんなどらねこは小学生から二十歳くらいまで美味しんぼというマンガを愛読していた。勿論、美味しんぼに書いてあることは本当だと思っていた。

今日採り上げるのは、小学館刊行の美味しんぼ22巻に収録されている『食品成分表の怪』というお話です。
■農薬で日本の野菜はダメになっている?
このお話は、在日本アジア人に偏見を持つヒトが日本の野菜の問題点を指摘するアジアの方に対して言いがかりをつけ、それに対して山岡が日本の野菜の現状はこうなんだ、お前等の偏見には根拠など無いのだっ!と切り捨てるのでした。
当時、このお話を読んだどらねこは在日本アジア人だからという理由で差別をするのは良くないよね?という内容に共感しつつ、日本の野菜の現状を憂いたものでした・・・。では山岡の指摘を見ていきましょう。

まず、山岡が成分表の説明とほうれん草の項目を読めと皆に手渡す。

すると、野菜のビタミンが改訂を重ねる毎に明らかに減っているではないか!

山岡は指摘します・・・
『その理由は農薬、除草剤の多用だ!私が断言しますっ!』
さて、本当に農薬の影響と謂えるのでしょうか?

■山岡さん、遣い方違うから

上記は成分表*1に書かれている注意書きです。変な誤解をするヒトが多いので書かれたのかもしれません・・・。このように食品成分表は過去の改訂に示された食品成分値を比較する目的では作られていないのですね。山岡さん、ソレ本来の使い方じゃないですよ。しかも、過去の野菜に比べて栄養価が低くなっていたと仮定しても、それだけで農薬の影響とは断じることは出来ません。農薬使用の有無の他はほとんど条件を同じく生育させた野菜サンプルを用意し、成分値に違いがあらわれるか確認し、その結果明らかな成分値の違いが認められる場合にのみ山岡の台詞みたいな強い主張が出来るのです。そうでなければ、本当に農薬が原因で違いが生じたのか明らかではないからです。
山岡さん、貴方が批判した在日アジア人を差別した日本人と同じ事をやっているのですよ。貴方は農薬を不当に差別しているのです。

*1:日本食品標準成分表2010 第1章 説明:1日本食品標準成分表の目的及び性格より