成分表

皆様は新しい成分表が発表された事をご存知ですか?

日本食品標準成分表2010
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu3/houkoku/1298713.htm

今回は基本的なデータや収載食品はそのままに、アミノ酸組成表の改定および、新たな微量栄養素の成分値を追加したマイナーチェンジ的な改定です。今回は新しい食品標準成分表についてどらねこなりにまとめてみました。

■食品標準成分表の改定
現行の食品成分表は五訂をベースに改定を重ねたモノで、前回の増補版でビタミンAとビタミンEの算出方法及び収載成分項目の変更とマンガンの本表への収載、脂肪酸の成分値修正などが行われておりました。

ちょっと余計なコメントが邪魔かも知れませんが、改定を重ねる毎に充実していくのがよく分かりますね。

■今回改定の特徴
今回の改定で一番重要な部分は、新規収載成分でしょうか。追加されたのは、ヨウ素、セレン、クロム、モリブデンの4つのミネラルとビタミンであるビオチンの合計五つの成分です。
どうしてこれが重要なのかといいますと、日本人の栄養素摂取の基準となる『日本人の食事摂取基準』に収載されている成分だからなのです。今までは食事摂取基準に推奨量や目安量が書かれているのに、成分値が食品標準成分表に記載されて居ないため、充足しているのか不足しているのか計算したくても出来なかったのです。
食事摂取基準と食品標準成分表がリンクした瞬間(なのか?)です。

その他の変更点としては、アミノ酸成分表の改訂とアミノ酸組成によるたんぱく質トリアシルグリセロール当量の付加情報としての収載があります。
新しい方式のたんぱく質量、トリアシルグリセロール当量については、FAO*1が提案する実際の含有量を的確に示し得るものです。今回の改訂では参考値として示されましたが、六訂の成分表で収載するための準備段階と謂えそうですね。
ところで、新しい方式のアミノ酸組成にたんぱく質量を見ると、今まで収載されてきたたんぱく質量よりも概ね低い値が示されていることが分かります。例えば『ぶり・成魚・生』の項目を見ますと、100gあたりのたんぱく質量は21.4gとなっておりますが、新しい方式では18.1gです。この違いは食品に含まれる物質自体が変わってしまったもので無いことに注意が必要です。
このように成分値の測定方法や技術の進歩などにより測定値は容易に変化するものなのです。同じ名前の食品であっても各改訂で示された成分値を直接比較して、含有量が『増えた・減った!』と論じるのは実はあまり意味が無いのです。これは食品成分表にも書かれていることです。

昔の成分表に書かれた栄養素と最新の値と比較して○○の栄養価は下がっているのは農薬や養殖などが原因だ!

こんな言説は食品成分表の見方を分かっていないことを曝露しているだけなんですね。
そんな事を謂うヒトをもし見かけたら、論者として信用できないと考えてあげてください。聞く耳を持っていそうな方でしたら親切にこの事を教えてあげてくださいね。


今日のニャンポイントアドバイス
もうすぐ書籍化されると思うので、食品成分表を買おうかなぁ、と思っている方はもうちょっと待ったほうが良いかもね?

*1:Food and Agriculture Organization国際連合食糧農業機関