予防できるのなら予防したい

感染症99の謎』編集 岩田健太郎 メディカル・サイエンス・インターナショナル刊 (2010)
この本、東京へ遊びにいった時に衝動買いしちゃいました。
医学知識に欠けるどらねこにはちょっと勿体ないようなある程度濃さのある良い内容の本だと思います。

予防接種有害論を標榜する代替医療やマクロビさんなどに言及する事もあるので、予防接種の項目をパラパラめくっていたら面白いトピックを見つけました。引用させて頂きます。

p455
高齢者の帯状疱疹予防に水痘ワクチンは有効か?

高齢者の帯状疱疹予防に、水痘ワクチンが有効であるかを党大規模無作為化プラセボ比較対照試験が、アメリカで1998年から実施された。60歳以上の高齢者 38,546人のうち 19,270人に、ワクチン(岡株/メルク株)を接種し、 19,276人にプラセボを接種して、帯状疱疹の患者発生数が 957人に達した時点(平均観察機関 3.12年)で終了した。帯状疱疹はワクチン群 315人、プラセボ群に 642人発生し、帯状疱疹患者のうち 107人が帯状疱疹後神経痛を発症した(ワクチン群 27人、プラセボ群 80人)。結果として、ワクチンの接種で帯状疱疹の発症が 51%減少し、帯状疱疹後痛は 67%減少した。

帯状疱疹は水痘(みずぼうそう)ウイルスが引き起こす病気で、文字通り、帯状に発疹と水疱が出現し、治癒後にも神経痛などの後遺症を残す事がある決して甘く見てはいけないものである。
水痘が治った後にもウイルスは神経節の中に潜伏しており、加齢やストレスなどの理由で免疫力が低下した際にウイルスが活性化して帯状疱疹を発症する事があります。

どらねこの身内では、妻の母親が数年前に発症し、大変苦しんだ事が記憶に新しいです。目の側にまで疱疹が出現したのですが、幸い目そのものは無事に済み(目に発現した場合には悪いときは失明するケースもある)、重篤な後遺症は残りませんでした。それでも、冬になると神経が痛むと現在でも悩んでいるみたいです。
妻の母以外にも帯状疱疹で入院するケースを見ており、予防できないものかしら、などと考えておりましたから、「うほぅ」などと栞をはさんだワケなのです。これって結構知られている事なのかしら。

高齢者への水痘ワクチン接種の適応は日本でもあるようですが、此は免疫能が低下している高齢者の水痘予防の為となっており、帯状疱疹予防とはされていないようです。
とはいうものの、帯状疱疹予防目的でワクチン接種することは可能である事、そして、効果も期待できるようです。

臨床試験*1の結果、帯状疱疹後痛67%減少させたというのは、どらねこ的には受けるのアリだな、と感じました。水痘ワクチン接種を実施している医療機関を見ると、だいたい7000〜9000円くらいで受けることが出来るみたいですので、どらねこも歳をとったら肺炎球菌ワクチンと併せて打ちたいな〜、なんて思ってます。(まだまだ先なので、その頃はどーなっているかは不明ですが・・・)

*1:Oxman MN, Levin MJ, Johnson GR, et al. A vaccine to prevent herpes zoster and postherpetic neuralgia in older adults.N Engl J Med. 2005 Jun 2;352(22):2271-84.