嫌いな話

なんだかんだで、美味しんぼ好きだったりするどらねこだけど、嫌いなお話しも結構ある。中でも耐え難いのは、39巻に収録されている『ビワの呪い』だ。
テキトーに粗筋を紹介する
ビワ泥ボーとなった山岡が持ち主に見つかり、あわてたところ転落、挙げ句の果てには治療まで施してもらう。素性を知った被害者は、公にされたくなかったらオレの言うことを聞け!と、脅す。なんとビワの上品な食べ方を教えろと言う。被害者のオヤジはやたら長く続いている(?)果物屋だった。
その理由はこうだ。娘の結婚相手のオヤジにアンタの店でビワを売るのはやめろと云われたのね。相手は茶道のお坊ちゃまで、代々茶道の家柄だそうな。先祖さんは大名家に仕える茶道の家元だったそうで、よその茶道かが皆の集まる前で意地悪されたんだって。なんとビワをお偉いさんの前で食べろって提供されたんだ。さあ、どうする?みんな興味津々だよね。だってビワを上品に食べるのって難しいじゃない。有名な家元が手をびちゃびちゃにする姿は見せたくないよね。みんなにとっては上手に食べようが、失態を晒そうがそりゃあ、良い見せ物だ。なんと、家元さん思いつかなかったからとビワを懐に仕舞いアタマを下げてその場を後にしたそうな。その後、このまま生き恥をさらせぬと自殺をしてしまったと・・・それだからビワを売るような奴に息子はやらん!!ってわけ。
びっくりする果物屋のオヤジ。
果物「ひえー!自殺したんですか!」
「昔の人間はそれほどまでに、体面を気にしたのです・・・・・」
もちろん、娘には結婚してもらいたいがビワは捨てることが出来ない、じゃあ山岡、上品なびわの食い方を考えろ、それで解決だよ。そんな理由だったのだ。
どらねこはこの時点で、むか〜!ぴ〜〜デス。
まず、食いつくところは此処だ。「昔の人間はそれほどまでに、体面を気にした」この話の流れでは体面は自分の命と同等の事としているわけだが、このように語るというのは彼が(佐草)その考え方に一定の理解を示していると受け取る事が出来るからだ。勿論、自分の仕事にプライドを持つことは大事なんだとは思うのだけど、命と引き替えになるようなプレッシャーとなる事を美化するような考え方には納得が出来ない。
昔の人=それほどまでに体面を気にする
ということは、ある程度一般化される話であり、それは社会の暗黙の了解と言うことであれば、相手のプライドをずたずたにする虞のある罠を仕掛たものとそれを見守るもの達は自殺してもかまわないという意図を持っていたことになる。人の死に関わるような状況を楽しむような文化があったとすれば、それは暗い過去であって、決して美化されてはいけないものだと思うからだ。まぁ、自分の考えだけどね。でも、人の命より優先される事って無いと思うんだよ。自爆テロを思い出すんだ。
ええと、話がそれたね。粗筋を続けよう。その後、ゆうこはなぜだか雄山操って、相手の家元にビワを突きつける。(粗筋意味不明だよね)ようは、圧力をかけてビワを食べさせる場面を造り上げたわけだよ。ゆうこ汚いよね。あんのじょう家元は困っちゃったわけだよね。なんとココで雄山は士郎にビワの食べ方を振るのだが、当の士郎はとっても下品にびちゃびちゃとビワにむしゃぶりついた。呆れる家元、挙げ句の果てには陶人と雄山の合作皿をビワのタネ捨てにしてしまった。
「ぎゃ〜!!」
驚く家元。そしたら、陶人じいさんはこれで良いのだと、家元を諭す。
「茶道の心は何ものにもとらわれない自由な心ではなかったか?」
家元「おっしゃる通りでございます!」ようやく250年の呪いがとけました。
いや、このオヤジ権威に弱いだけじゃあないの?それはともかく、次の台詞にも唖然。
家元「佑一、ビワを頂きなさい!実子さんも一緒に!」

おい!娘はオマケじゃあないぞっ!!

ビワのオマケではないが、伝統のオマケなんだよ、大事な息子の人生がね。そして、目の前の八百屋オヤジも一緒なんだけど、自分たちのコドモの人生や希望よりも自分の拘りや体面が優先だという事がとても歪に感じるのだ。
先祖の呪いは未だ解けていないのだ。

だから、どらねこは世襲議員が嫌いなの、そゆこと。