はねじゅう

スーパーの果物コーナーが好きだ。いや、スーパーよりもデパートの売り場の方がたいてい充実しているからそっちの方が好きかも知れない。
果物コーナーが好きな理由は果物が好きだからに他ならない。でも、こんな事は書く必要が無いのは分かっているんだけれども、書かずにはいられないというのはちょっとアタマがおかしいからなんだろうね。
果物って、なんとも謂えない魅力があるんだよね。彩りと芳香、形状など見ているだけで涎がでてしまう。食べる前から色々想像しちゃうんだよね。あの柔らかな果皮をひんむいたら、果汁がしたたり落ち、甘い香りが部屋に充満する。もふぅ〜〜

■メロン
どらねこはメロンが好きだ。いや、メロンなら何でもよいというものでなくて、やっぱりマスクメロンが好きだ。
熟れ加減を憶測して、どうかなー、まだかなー、すぎちゃったなー、と想像しながら包丁を入れるのが好きだ。
熟れ過ぎちゃっているのは好きじゃない。
未熟なのはもっとすきじゃない。
自分が一番好む状態じゃないと嬉しくない。なんて贅沢なんだろう。
だけどどらねこは貧乏だ。
マスクメロンは滅多に食べる事などできない。
だから、売り場では彼を横目にみつつ、他のメロンを物色するのだった。
昔はプリンスメロンが定番だった。
ホームランメロンはなんか軽そうなイメージなので食わないままだった。
アムスメロンは嫌いじゃなかった。
アンデスメロンには安心を求めなかった。
中でも、ハネジューメロンは安かった。
でも、彼は白いんだ。ボクは緑のメロンがやっぱり好きなのだった。
なんでハネジューメロンという名前なんだろう。
羽獣メロンというのはどうだろう?
なんか、お目々がまん丸な大きなコウモリさんが喜んで食べていそうなイメージだ。
コウモリは大きなメロンを貪り食う。
飛び散る果汁・・・跳ね汁メロン。
そうか果汁を飛び散らかしながらむさぼり食べるような美味しいメロン跳ね汁メロンか。
突然、ハネジューメロンを食べたくなった。
初めて食べたのは職場でメニューとして提供したときだった。
素朴な味がした。
ボクのハネジューメロンを返せ。
どらねこの頬を蜂蜜のようにキラリと光る涙がしたたり落ちた・・・