第二回どらねこ栄養相談室

前回は何気ない素朴な質問に対して、空気を読めない*1マニアックな返答をしてしまい、一般読者をおいてけぼりにしたどらねこです。まぁ、本所近くにずっと住んでいたのだからしょうがないですね。それでは、気をとりなおして回答をしていきたいと思います。

※注意※質問に対する回答は栄養学、生化学などの基本を踏まえつつも個人の推測などを交えたものです。個々人の状態によっては適切でない可能性があることを予めお断りいたします。





■どらねこの回答
おそらくですが、エタノールをある程度飲み進めるとまずは抑制系の神経を抑制するので、これ以上のお酒は体にワルイゾという理性によるブレーキがきかなくなる為ではないでしょうか。ですが、そのまま飲み続けてしまうと意識消失など深刻な事態を引き起こし兼ねません。「お酒ダヨ」、とソフトドリンクを手渡されて騙されるのが正解かも知れませんね。どらねこは『ほろよい』という、アルコールが入っているんだか入っていないんだかよく分からないようなのを、最後に飲むようにしています。甘ったるいジュースみたいなヤツなので、もういいや、となります。


■どらねこの回答
私の周りにもサプリメントを愛用している方は結構いらっしゃいます。でも、どんな基準で選んでいるのか今ひとつ分かりません。肩が痛いと、肩の痛みに良い、なんて書いてあるビタミン錠剤を選んでいるようで、ホントにその成分が不足しているのか分からないまま飲んでいるみたいです。何らかの事情があって、特定の食品を食べることができず、欠乏が予測されるのであればサプリメントを採り入れるのも良いかも知れません。例えば、宗教上の理由などで肉を食べることが禁じられているのなら、ビタミンB12をサプリメントなどで補うのは適切な行為と考えられます。
それ以外には、妊娠期の女性などで、必要量の増加に普段の食事からの摂取が追いつかないような場合には有効と考えます。なかでも、妊娠を考えている、若しくは妊娠したかもしれないという女性が葉酸サプリメントを求める場合はサプリメントの摂取はたいへん有用であると考えられます。ですが、そのような例外を除けばサプリメントを必要とするような食生活にならないようにする事が大事であると考えます。
そんな葉酸摂取で大丈夫か?
内海さんのような、成人男性(だと思うのですが・・・)については、ビタミン、ミネラル、微量成分を精製したような形のサプリメントを摂るよりも、不足しがちな栄養素を強化した食品を普段の料理などに採り入れる方が、個人的には無難であると思います。

■どらねこの回答
がん様に限ってそんな事は無いと思うのですが、プロテイン(=たんぱく質)をアナボリックステロイドのような筋肉増強(そこまでを期待してないと思うけど)効果を期待して飲んでいる方がいるような気がします。でも、市販のプロテイン粉末であっても、所詮はたんぱく質の顆粒に過ぎませんから、食事から摂ったたんぱく質と違う働きなんて期待できません。なので、筋量増加・筋肉修復に必要なたんぱく質を食事だけで補う事が可能かどうかが、質問の意図と考え回答を致します。
スポーツなど、激しい運動を行っている人で無い限り、普通の食事で十分なたんぱく質が摂れていると考えられます。寧ろ、たんぱく質は不足しにくい栄養素であろうと考えられます。(詳しくはこちらの記事参照→http://d.hatena.ne.jp/doramao/20110623/1308813849
それなので、よっぽど激しいスポーツやアニキのような筋肉を付けたいと考えているのなら別ですが、程々の運動程度ではたんぱく質を補助食品として補う必要性はあまりないと考えます。
L-カルニチンであるとかα-リポ酸であるとか、なんだか効きそうな成分が配合されている商品を見ると試したくなってしまうでしょうが、医薬品では無く、食品の形態では、その成分の含有量や組成など信頼できないことも多いと考えられます。また、本当に効果があるのなら、逆に副作用が心配になることも考えられます。特定の成分を補給することに熱心になるのはあまりお奨めできませんね。
寧ろ、運動後には脱水が心配されますので、適度にミネラルを含んだ水分を適宜補給し、スッキリとした状態で十分な食事を摂る事をお奨めいたします。

■どらねこの回答
ああ、何かそんな記事を読んだ記憶があります。おそらくですが此方の海外記事*2を日本向けに紹介したモノだったかと思います。その前提でお話しをさせていただきます。
記事を見る限り、調査手法や結果について報告されている文書にリンクが貼られていないので、元データの信憑性を探ることはできませんでした。ハッキリいって、記事に書かれた内容だけで、その真偽を判断することはできません。じゃあ、もしかしたら本当かも知れないよね?と考える方もいらっしゃると思いますが、それは否定も出来ない変わりに、正しいということも出来ないんですね。しかし、新しい事や常識を覆すような発表を行う場合には、その正しさを立証するのは、紹介する側の責任なのですね。それが十分に出来ていないのだから、今のところは無視しても良いと思います
では、今の常識はどうなのでしょう。例えば、低エネルギー甘味料の代表格であるアスパルテームについては、その安全性の評価はかなり高いモノと考えられております。おそらく、フェニルケトン尿症という先天性の病気を持っている方以外には安全である事でしょう。
実はこのアスパルテームは、色々なところでバッシングを受けておりまして、そのたびに検証が繰り返され、安全であることが明らかにされてきました。感情的な反発が多かった事で、その安全性がしっかりと確認されてきたのですね。もし、その記事に書かれているような作用があるのならば、既に検証が行われ、問題点として指摘されているでしょう。たまたま、そう解釈できる研究が見つかった、或いは意図的にデータを解釈したものに、後付けでもっともらしく見えるような解説を付け加えた可能性が高いと睨んでおります。
色々と分かりにくい事を書きましたが、明確な根拠を示さずにアスパルテームの悪口を書いてある記事はそれだけで信頼性が低いと判断しちゃって問題ないと思います。一つの指標としては有用かも知れませんね。

参考:アスパルテームの安全性について
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2007-09/kc-ais091107.php
上記リンク先ではアスパルテームの安全性について綿密に検討されている事がわかります。

上のリンクは一つの例ですが、ヨーロッパでは特に色々な角度から様々な検討が行われているようです。人工甘味料に懐疑的な人は多いようですね。

簡単な結論:
アスパルテーム膵臓に損傷が・・・という信頼できる研究は無いと考えられます。あったとしても、動物実験レベルで、しかも人間が通常に食べるような条件での研究ではないでしょう。
カロリーゼロで太る事はありえません。カロリーゼロを飲んでいるから大丈夫、と余計な間食や食事量を増やしてしまわなければ*3太ることは無いでしょう。低エネルギー甘味料は血糖を殆ど上昇させる事は無く、糖尿病の血糖コントロールには非常に有用な食品と考えます。勿論、そればかりを使うのは推奨しませんが、根拠のない煽りで使用を控えるというのはやめた方が良いと思います。


■どらねこの回答
なるほど、夜型の方が太りやすい、なんて話もよく聞かれますし、なんとなくありそうに感じますね。さて、科学的な根拠はどうなのでしょうか。
ざっと調べたところ、これを裏付ける根拠になりそうな研究*4もなされておりました。最近では、日本でも同様の研究が行われ、もしかしたら朝型の食事の方が太りにくいかも知れないという結果も出てきているようです。
さて、研究内容を少し解説させてもらいます。人間は生きて活動するためにエネルギーを消費しますが、エネルギーを得るために食べ物を食べますが、消化吸収にはエネルギーを必要とします。それを食事誘導性熱産生(DIT)と呼んでおります。これはたんぱく質で多く、脂質や糖質は少ないのですが、食べ物が持っているエネルギー(cal)のおよそ10%ほどと見積もられております。研究ではこのDITが同じ食べ物であっても、朝食べる方が夜に食べる場合に比べて大きい事を示唆する結果が出ております。つまり、朝の方が太りにくいかもしれないと謂うことです。

・・・などと肯定的に書きましたが、文献をざっと見る限りでは、経験だけで判断できるほど大きな影響は今のところ見つかっていない*5ようです。

簡単な結論:
もしかしたらそんな事があるかも知れないと、現在研究が進められておりますが、可能性が示された程度とどらねこは考えます。



以上をもちまして、どらねこ栄養相談を終了したいと思います。ご協力いただいた皆様、どうも有り難うございました。
第三回は・・・果たしてあるのでしょうか?バイバイ!

*1:読まないとすると故意的なニュアンスにとられがちなので

*2:http://www.dailymail.co.uk/health/article-2009055/Why-guzzling-diet-drink-make-fatter--trigger-appetite.html

*3:食欲を増進させる働きや、アスパルテームでない甘味料で、インスリン等に影響を与える可能性は否定しきれないが、そんな事をいっていたらきりがありません。

*4:Romon M, Edme JL, Boulenguez C, Lescroart JL, Frimat P. Circadian variation of diet-induced thermogenesis.Am J Clin Nutr. 1993 Apr;57(4):476-80.

*5:関連する論文をひきながら、解釈などを行うエントリを近いうちに書きます