第一回どらねこ栄養相談室

皆様こんにちは。栄養相談室室長のどらねこです。
このコーナーはツイッターで皆様から寄せられた、食や健康、栄養についての様々な質問にどらねこがモッフモフ!と答えていくというものです。ゴメン、嘘です。ネタギレなので、皆様に泣きついて質問を考えてもらいました。その節はお世話になりました。そんなワケで、早速皆様の質問に回答していきますね。

※注意※
質問に対する回答は栄養学、生化学などの基本を踏まえつつも個人の推測などを交えたものです。個々人の状態によっては適切でない可能性があることを予めお断りいたします。




補足情報:30代独身男性。食事は基本的に三食食べる。運動はほとんどしない。お酒も付合い程度でフルーツ好き。身長は170前後、体重は50kg以下をここ10年はキープしていて、ほとんど変動なし。体脂肪率は夏になると10%を切る。好き嫌いはあまりない、肩幅はせまいが骨は別に細くない。

■どらねこの回答
確かに太るための情報は少ないでしょうね。まず、太れない状況というのは、日常生活で消費するエネルギーを上回る食事が出来ていないからなのですが、どうして食べることが出来ないのかが問題になりますね。(あたりまえですが)
その前に考えておかないとイケナイのは、本当に太る必要があるのかどうかです。必要があるとしても、どの程度の体重増加が望ましいかも考えておきたいところです。
太りたい理由で考えられるのは体力的なものでしょうか、普段の生活に支障が無くても具合が悪くなったときに蓄えがないと、病気からの回復がおぼつかない可能性があるからです。また、望ましい体重についてはよくBMIが参考にされますが、これは確実なものではありません。仮に身長を170cmで体重48kgとしますと、BMIは16.6であり、痩せに分類されますが、もしこの人が肩幅が広く骨太なタイプであれば数字以上に深刻と考えられますし、肩幅が狭く華奢なタイプであれば、それほど深刻では無いかも知れないのです。最後にもう一つ、今までずっとその体格を維持してきた人が大きく体重を増減させるというのは余り良いことでは無いようです。全体的に脂肪をつけ、やや体重増加を目指すぐらいが良いかな、と思います。
さて、本題ですが、これは本当に難しいです。夏に体脂肪率が下がると謂うのはおそらく食欲低下の影響だと思います。生活条件があまり変わらなければ、冬の方が消費エネルギーが大きくなるからです。なので、太れない理由の1つが、食欲自体があまり旺盛で無い事が考えられるからです。どうやったら食欲が引き出せるのでしょうか、これが難しいと思います。
ぱっと思いつくのは好みであるフルーツを活用する方法でしょうか。生の果実を大量に食べるというのも食事に影響してしまいそうです。ここはジュースにして飲んでしまうのもありでしょう。アブラ物を食べるのは簡便ですが胃もたれしないかどうかも関わってきます。私でしたら、トマトをベースに、夏野菜を多めのオリーブ油で炒め、コトコト煮込み、スパイスを効かせたりするとろとろスープをつくりますね。ソーセージを入れても良いでしょう。これを冷やして、食べる前にバジルを添えれば、そんなに油を感じさせないでさっぱりとした食感で頂くことができます。勿論、いければおかわりしちゃってください。
私はどんどん太っているのですが、それは揚げイモとビールのおかげですね。健康的で無いですね、スミマセン。



ラーメンが嫌いという設定のみつどんさんからの質問ですね。

■どらねこの回答
食べたくなりますよねー、ホント。ネットなどでよく見かけるのは、アルコール(エタノール)の利尿作用で失われたナトリウムとアルコール(エタノール)を肝臓で分解するときに必要なブドウ糖を脳が欲しがるから、しょっぱくて炭水化物の多いラーメンが食べたくなる、なんて説明でしょうか。これが回答で良いのかしら?

で、終われれば簡単なのですが、そうも行かないようです。まず、上記の反応が体の中で本当に起こっていれば良いのですが、どらねこの拙い生化学知識でもどうも違うような気がするんですよ。
まず、ナトリウムですが、尿の量が増えたからといって、ナトリウム排泄量がそれと同じように増えるのは考えにくいです。ナトリウムは浸透圧を保つなど、生命に大きく関わるミネラルなので、余計に排出されないよう、腎臓で調節されるんです。急激に激しい汗をかくような場合は別ですが、ナトリウムを含まない水を摂った場合には、ナトリウムを逃さず急速に水分ばかりを排出させたり、不足したナトリウムを補おうとする事でしょう。おそらくお酒を飲んでいるときは水分が過剰で、飲み終わってトイレに何回も駆け込んでいるウチに、だんだんと水分とナトリウムの両者が足りなくなってくると思うんです。この時に、ただの水ではなく、ナトリウムを含んだ水分を摂るのが良いのでしょうね。
次に炭水化物ですが、ブドウ糖だけじゃなくて、ビタミンB1も使われるなんて書いてあるものを見かけました。さて、これは何処まで正しいのでしょうか。まず、一つめの誤解として、アルコール(エタノール)を分解するときに主に使われるのはナイアシンというビタミンなんですね。これでアルコールはアルデヒドアセトアルデヒド)という形に変えられ、更に酢酸に変換されてエネルギー源*1になるんです。アルコールをいっぱい飲んだときはこの反応を肝臓が一生懸命行うんですね。だから、肝臓の別の仕事であるブドウ糖をつくる(糖新生)が疎かになっちゃうんです。その結果、糖の代謝が得意でない糖尿病の方などでは低血糖になったりするんですよ。この傾向に歯止めをかけようと、炭水化物ものを体が欲する・・・これが比較的妥当な見解じゃあないですかね。
・・・あ、まだ全然回答してなかったですね(汗
お酒を飲むとマトモナ判断力がなくなっちゃうので本能任せに暴飲暴食が続いてしまうんですよね(痛感)。それでも頑張って自制心を働かせ、いわゆるスポーツドリンクをお酒を飲みながらも同時に飲むというのはどんなものでしょう。それがダメなら、スープ春雨を用意しておいて、それで我慢をするとか。これはそんなに沢山食べたくなるようなものではないですから・・・
コレでやめられりゃ世話無いですけどね(本音)。



ところで、ひえたろうさんは果たして男性であるのか女性であるのか、はたまたご高齢なのか、お若い方なのかすら謎でありますので、日本人の平均的な食事として、国民栄養調査の結果を踏まえながらおこたえさせていただきます。

■どらねこの回答
調査の結果をみると不足しがちなのは、男女ともに『カルシウム』で、女性では更に『鉄』があげられるでしょう。更に詳しく見ると、比較的若い層でのビタミンやミネラル不足が気になるところです。全体で見ると不足傾向なのはカリウムかと思います。これは全体の傾向ですので、個人レベルになりますと、明らかに不足している人が大勢いらっしゃる事が予測されます。
では、どうして不足してしまうのでしょうか?まず、日本の野菜は土壌のカルシウム分が少ないため、野菜からのカルシウム摂取がそれほど期待できない事と、カルシウムを摂りやすい乳製品の摂取量が全体的にはすくなめであることが関係していると考えられます。骨ごと食べられる魚が食卓にあがらなくなってきた事も関係しているのかも知れませんが、意識して食べないと充足しにくい栄養素であることは間違いありません。反発をする人も中にはいるようですが、乳製品は欠かせませんし、通常の食品にカルシウムを添加した商品もありますから、そういったものを活用するのも良いかも知れません。どらねこ個人的には、魚を骨ごとすり身にした団子を煮物や汁物に入れて食べる機会を増やしたりしてます。
さて、もう一つ難しいのは鉄の補給です。これは女性だけなのですが、月経血と大きく関係しているからです。しかも、個々人の経血量が貧血に大きく関係していますので、ただ単に食事で補うのはとても難しいと考えられます。若い女性では、ダイエットのために肉類を控える風潮があるかもしれませんが、牛肉の赤身は鉄分補給に適した食材ですので、食生活にもう少し採り入れても良いかな、と思っております。
最後にカリウムですが、ナトリウム摂取量が多い人は特にしっかり確保して欲しいミネラルです。血圧低下作用は減塩よりも効果的とされている研究もあるぐらいです。どうして不足気味なのかというと、野菜不足や日本料理の調理法に原因があると考えられます。カリウムは野菜や果物に多いのですが、煮てしまうと煮汁に流れ出てしまうのですね。生野菜よりも加熱調理で野菜を食べる事の多い人は注意した方が良いかも知れません。キュウリを食べない方は特に気をつけて欲しい(?)ところです。

■どらねこの回答
体に『良い』、『悪い』という言葉はよく聞かれるのですが、実際にそれがどう良いのかまで説明される事は少ないと思います。簡単な話のようで中々に難しい問題を含んでいるような気もします。
健康に問題もなく、色々な食品をまんべんなく食べて、十分な栄養確保が出来ている人であれば、どの御飯を選んでも良いと思います。個人の好みの問題ですね。ところが、何らかの理由で肉類など食べ物に制限のある人であれば、ビタミンB1不足を補うために、5分搗き米を選んだ方が良いかも知れません。これはお米に限らず、所謂健康的とされる食品全般に当てはまることかも知れませんね。特定の食品に拘らず、安心して色々な食品を細かいことなど気にせず選べる方が、結果として健康的な生活を営めるかもしれませんね。


■どらねこの回答
なるほど、アザが出来やすい体質なのですね。
先に一つ説明させていただきますが、食べ物は薬では無いので特定の症状を改善させたり、元々もっている体質を変えるような効果はあまり期待できません。薬のような効果を期待して同じ食べ物ばかり食べるのには色々と危険がありそうです。健康食品のように効果があるようにほのめかす商売も多いので誤解されがちですね。では、まったく意味が無いのかといえばそんなことは無くて、症状の原因が栄養素の欠乏であれば、足りない分を補給することで症状は速やかに改善したりします。他にも、食品に含まれている微量成分には体に対して色々な働きを持つことが調べられておりますが、確実に効果のあるものについては、精製され薬剤として既に利用されていたりします。
さて、本題にうつりますが、血管が弱いのは元々の体質なのか、栄養素欠乏があるのか、それとも別の原因なのかによって、まったく対応は異なると思います。なので、栄養素欠乏の場合に絞って推測をしてみますね。
出血に関係する栄養素として考えられるのはビタミンCとビタミンKでしょうか。ビタミンCはコラーゲンの合成に重要な栄養素で、血管の弾力性にも関係しております。これが極度に不足すると壊血病という出血を伴う病気になりますが、アザとはちょっと違いますね。
もう一つのビタミンKですが、これは血液の凝固に関わっていまして、不足すると血が固まりにくくなり、容易に出血するようになります。可能性としては此方の方が高いかも知れません。ビタミンKは納豆や緑黄色野菜に多く含まれておりますね。
血管の弾力性は、高血圧や血管内の炎症によっても失われていきます。血管の健康を保つためには程よい運動と適度に脂を含む魚を食事に採り入れること、食塩を控え、生の野菜や果物も食べることなどの総合的な対策により達成されるものだと思います。参考になれば幸いです。




※質問はまだまだ残っておりますが、長くなってしまいましたので、第二回に回したいと思います。まっててにゃん。

*1:余談ですが、アルコールは太らない、なんて話を見かけるけど、摂食実験ではちゃんと体重が増加したという結果が出てるんですよ。