ウソをつく道具:その1

どらねこは社会学や心理学などの研究法の専門的な訓練を受けておりません。そのようなモノが書いた個人的意見や普段考えていることなどを述べた文章であることをご理解の上、お読みいただければ幸いです。

■心理学と社会学
「大学で勉強してよかったなぁ〜」と思える学問分野・科目はなんですか?という質問をされたらちょっと迷ったあとこう答えると思います。
それは社会学心理学です。

高校時代のどらねこに、社会学と心理学ってどんな学問?と聞いたみたらどう答えたでしょう。社会学については、社会科の延長線上の学問で、心理学は精神分析とかカウンセリングみたいなヒトの心を予測する様な学問という理解で回答したんじゃないかと思います。だって高校生のどらねこは両科目とも習ったことがなかったのですから。
なんとなく受けてみたい講義だけをそれなりにきいただけなので十分な理解とは謂えませんが、これらの学問の端っこを少しでも体験したことはその後のどらねこに大きく影響を及ぼしたと自分では思っています。テレビ番組で当たり前のように語られる内容が実は何の根拠もないお話しであったり、尤もらしく語られる通説が実は全く誤りであったり・・・今まで丸々鵜呑みにしていた内容の多くはそのまま受け取るのは誤りである事が心理学や社会学を学んではじめて見えてきたことでした。

新聞やニュースをたびたび賑わす、増え続ける若者の凶悪犯罪!は本当は増え続けていないんだよ、という事を社会学から教わりましたし、血液型性格判断を正しいものとして受け取ってしまうような心理傾向を心理学により知ることが出来ました。どらねこがこんなブログを書いているのはこの二つの科目が大きく影響して居るんですね。
ニセ科学は人間の陥りやすい心理傾向や集団での振る舞い方などを利用して広まっていく性質があると思うのです。引っ掛からないためには・・・対策を立てるには・・・そんな心理傾向や行動の特徴をキチンと知っておくことが一番だと思うのです。

とはいえ、どらねこの理解もたいしたこと無いのですけどね。じゃあ、現在のどらねこだったら、どんな学問ときかれて何て答える?
心理学も社会学も刺戟に対するヒトの行動を科学する学問で、心理学は個人が刺戟に対してどのように振る舞うのか、どのように刺戟を認識するのかになど個人に主眼をおき、主に実験により評価を行うのに対し、社会学では集団としてのヒトの振る舞いにより生まれる社会に着目し、主に社会調査によって現象を理解しようという学問というように答えるぐらいの理解です。
ヒトの振る舞いの科学であるという事は共通点ですよね。もう一つ大きな共通点がありまして、それは得られたデータは統計によって解釈をされるというものがあると思うのです。若者の凶悪犯罪は実は増えていない事や、血液型により明確な性格の差違は確認できないという事を明らかにするのは統計によって得られた知見なのですね。
どらねこだけでなく、多くの高校生は両科目を習っていないと思います。それは心理学の入門書や大学などの科目紹介などでも、高校では心理学を習いません*1が、どういった学問なのしょうか・・・云々と書かれている事を目にする事からもわかります。学問としての心理学や社会学を学ぶのには基礎となる知識が必要ですから高校で教える科目としては馴染まないとは思います。なので、やっぱり高校では必要のない科目という事で良いのでしょうか。

■高校でも採り上げて欲しい
個人的な思い入れもあると思いますが、この両科目は高校でもその考え方の基本ぐらいは教えても良いと思うんですよね。だってみんなが大学行くワケじゃないですから。受験勉強の為には関係のない科目を入れる隙間が無い!という意見も出てきそうですが、じゃあ大学受験を考えていない生徒の為に時間をとるという事なら出来るんじゃないかな、なんて思ったりします。とはいえ、やっぱり受験を考えている子にも学んで欲しいなぁ。どらねこがそう思う理由は統計学にあるんですね。高校時代のどらねこは受験も考えていませんでしたし、数学はダメで算数までしか理解できていないアタマでしたから当然、統計学の授業なんてアタマに入るわけがありませんでした。それが今になってとっても悔しいワケなのです。心理学や社会学を勉強するためには必須の知識ですからね。統計学はこの両科目に限らず現代社会を支える重要な学問なのでした。それにも拘わらず、高校時代はその大切さが全く理解出来ておりませんでした。それはやっぱり何の役に立つのか分からなかったからですね。必要としない知識や興味のないことはやる気が起きないですもの。本当は自分の興味のある分野でも必要不可欠の事が多いのに、大切だという事自体を知らないままにしてしまうのですね。
もしかして、高校時代に社会学や心理学、公衆衛生などの大切さをちゃんと学んでいれば、統計に対する意欲も随分と違ったモノになるんじゃないかなぁ、そんな事をどらねこは妄想したわけです。

■心理学の大切さ
心理学をちょこっとかじったことで、先に学んでいた社会学に対する見方もちょこっと変化をしました。それは認知のバイアスと呼ばれる人間の認識の偏りの事で、例えば確証バイアスは自分の主張や元々持っていた印象に基づき、それを支持する結果ばかりを集めてしまうと行ったような、研究の公平さに影響を及ぼすおそれのある心理傾向です。他にも対応バイアス、錯誤相関など研究結果の解釈にも影響を及ぼす重要な視点を心理学から得た後では、社会学研究の幾つかはそうしたバイアスにとらわれたモノが含まれている事に気がつくことが出来ました。
統計はウソをつくための道具です、という話しをきいたことがありますが、統計にウソをつかせないため、統計でうっかりウソをついてしまわないように心理学の知識を学んでおくことが大切なんだなぁ、と実感したわけです。本当は実感しただけじゃなくて、ちゃんと使えるように勉強しないといけないのですが、これは中々進まなかったりします。(賢いアタマが欲しい)

さて、既に忘れ去られていると思いますが、以前お国柄みたいなという記事を書きましたが、それは次に書く予定の日本人論のウソ?の前振りのつもりでした・・・。次の日曜日にアップできれば・・・と思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。

*1:最近では○○総合高等学校みたいな校名の学校では一部教えられていたりするようです