どえす

大好きな物語がある
なんどもなんども読み返した、ちっちゃい頃持っていた絵本みたいに、ワクワクしたりホロッと来たりする物語がある。最近、そんな物語の共通点に気がついた。

ヒトならざるものがヒトとのコミュニケーションを切っ掛けに感情みたいなモノが萌芽する。その感情みたいなモノが行動原理に影響を与えて、当初からは考えられなかった選択を行う。その結果ヒトは絶体絶命の危機を脱出することができた・・・みたいなストーリーだ。

こうやって改めて書き出してみると、人間の感情バンザイ、ヒトって素晴らしいよなぁ的考えをもってるな、自分。ちょっと意外か、いやそうでもないか。

デッドゾーンという脱出系ストーリーのテキスト型アドベンチャーゲームがあったのだけど、小学生の頃にやったコレがもしかすると切っ掛けだったのかも知れない。デッドゾーンのストーリー自体はSFでありがちな展開なんだけどね。

【でっどぞ〜ん】
ファミコンディスクシステム・・・やればやるほどディスクシステムというよくわかんないキャッチコピーが懐かしい。当時小学生だったどらねこは、ゼルダの伝説がやりたいが為に親に強烈なおねだり攻撃を仕掛けたことを覚えている。
デッドゾーンは当時実現しなかった音声合成技術により一部キャラクターが喋ることで話題になったディスクシステム用ゲームである。
『きゃりー どぅえぇぇ〜〜す!』


すげぇ、しゃべるよ。20年以上経った今でも鮮明によみがえるほどの強烈な音声で。

粗筋
主人公のカークは恋人との結婚を控えて浮かれていた青年。意識を失っていたかなんかで、目を覚ますと密室(?)に閉じこめられた状態。脱出をするため周りを探るとバッテリー切れのロボットが見つかる。このロボットがキャリーで、主人公によって作られたという設定。バッテリーを入れて動き出したキャリーと二人三脚で謎を解明し、脱出を図るというストーリー。

■曖昧な記憶を基に見所を解説
小学生のどらねこには凄く難解なアドベンチャーゲームだった。それでもクリアできたのはストーリーのおもしろさと、脅威の音声合成そして、キャリーのダジャレのお陰だと思う。
モノを取るという選択肢を選んだときのリアクション
トル→『トルトルソース クダラナイッテ? ウルセー!』
うるせーのはオマエだ!
脱出口を見つけたぞ、さぁ、次の謎は・・・
ちゃ〜ら♪ちゃ〜ら♪
そこに現れてたのは謎のタイトル画面『でっどぞ〜ん』
仙人の投げるおにぎりをキャリーが全てキャッチしなければならないというミニゲームが、何の脈絡もなく開始された。しかも、全てのおにぎりをキャッチしなければ、次に進めないという仕様なのだ。給食を全部食べるまで居残りをさせられる程の理不尽さ。
『アト 3』
きぃぃぃぃ〜!くやしぃぃぃ〜。
何だかんだで物語は佳境に入って、主人公が閉じこめられた経緯が明らかになる。
なんと、恋人がつくったプログラムの仕業らしいのだ。主人公の恋人はコンピュータのプログラムに感情を持たせた。すると、コンピュータは彼女に愛情(?)を持ってしまい、恋敵のカークを陥れ、彼女を自分のモノにしようと企んだのだそうだ。
カークは謂った
『なんだてめー、感情を持たない機械の癖に生意気な!』
横で落ち込むキャリー
『どーせぼくは何の感情も持たないキカイデスヨー』
細かい経緯は忘れてしまったが、キャリーは自らを犠牲にして、二人の脱出をサポートするのだった。
その際キャリーは、ロボットは人間に役立つために作られたモノだから気にするな的な事を二人に話しかける。しかし、最後にはこう付け加えた。
『マタボクヲツクッテネ』

主人公のサポートという命令を実行するために与えられた擬似人格。感情を持たない筈の機械が最後に発したその言葉には何が込められていたのだろうか。
何故ボクだったのだろうか。ボクで無ければ成らなかった必然性は何だろう?
意思って何だろう、感情って何だろう?そんな疑問を持つ切っ掛けをこのゲームは与えてくれたのではないか?今になってそう思う。

続く(?)