健康食と危険食⑥(食養の比較をしてみた)

食養の比較
前回、比較をしてみたいなんて安易にいってしまったけど思っていた以上に大変な事だった。暗黒面らしく、テキトーなところもあるので注意して欲しい。(大まかなところは良いと思う)

  • 表の補足と雑感

日本綜合医学会
http://www.npo-nsi.com/igakukai.html
二木さんは駒込ピペットの考案者で、本業の研究に於いては赤痢菌の新種を発見したり、駒込病院の院長を勤めたりと本業での業績は素晴らしいものがある。だけど、代替医療が大好きで、いろんなものに手を出している。
医学会とあるように、その参加者は医師などの名前が多く見られる。甲田氏も歴代の会長に名を連ねており、その影響で少食を推奨しているんだろう。(たぶん)
上記公式ウェブサイトには

私達が推奨している、少食運動と健康食を実行していれば、食糧危機が来たとしても自給率28%でも1500〜1700カロリーであれば乗り切ることが出来るでしょう。

とあり、少食は世界を救うをアピールしているが、その計算根拠が全く不明である。世界を救う前に足を掬われてしまいかねない。
二木氏本人は塩や油は必要ないという主張であるが、その後継からはあまりそのような文言は聞かれないような気がする。講演会、講習会を開いているが、講師として真弓定夫先生も呼ばれるなど興味は尽きない。

日本CI協会
http://www.ci-kyokai.jp/
桜沢如一の直系子孫機関だが、『ごま塩三尺と玄米だけあれば』という彼の主張は全面には出されていない。例えば・・・

(5)塩分の制限
高血圧、心臓病、腎臓病等の原因となるので、許容量の範囲内にとどめる必要がある。

などと謳っているが、その割に

病状、体質等に応じて「マクロビオティック食事法の十段階」の組み合わせ基準による必要がある。

なんて、さりげなくプッシュしていたりする。まぁ、それだけで体を壊しかねない食事法は表面上取り下げられているようだ。

クシ・マクロビオティック
http://www.kijapan.jp/
フードピラミッドで分かり易く説明?

肉だって一ヶ月に一度くらいならOKなど、ゆるマクロビ、カジュアルマクロビで一般にアピール、敷居を下げている。アメリカで有名俳優も実践などと謳い勢いがよい。個人的な印象だけど、テレビで採り上げられるマクロビはコレ系な気がする。
現実を踏まえているようで、世界や宇宙の平和と秩序、波動や霊性だの、疑似科学やオカルトとの親和性も高い。

河内式食養
世の中の事象は全て陰陽によって説明ができると考えているフシがある。Gを批判しながらも、反欧米で陰陽重視の思想は師匠桜沢の影響から抜け出せていないようにみえる。
あと、特定の食べ物が○○に効く!みたいな話も大好きだ。逆にコレを食べると○○になるという話も良く出てくる。食べ物を漢方になぞらえているのだろう。鯉コクやスッポン料理は中庸に近い動物性食品だから栄養を付けたいときには食べて良い食品としている。出産後に病院でこの食事がでてきたら彼や彼の信奉者である可能性が疑われるね。
そんな彼は他にビタミンB17*1でガンを治療なんて話をプッシュしてしまっていたりする。Gの食養で被害云々云っていた彼が、青酸中毒で被害が出るかも知れない食品を推奨していたとすれば恐ろしい話だなあ。

  • どらねこの憶測(もっと書きたいこともあるけど簡単に)

河内氏はGの食養を批判したが、その目的は正しい食養を推進するためだと云った。それは自分の実践する食養が正しいモノであるという自信に裏打ちされた発言であるといえる。自分の主張する正当な食養こそが生き残るべきだと。どらねこの目にはどうしてもそのように見えてしまう。自分も似たようなところがあるから何となくわかる。
はじめに紹介した『しんえいよう』の中で彼は、自分の罪は彼の名前で著書を記し、G式食養という名の偏食を人にすすめてきたことだ、と反省の弁を述べているが、その意味するところは「犠牲の原因は全てGにあり、自分はタダその教えを広げてしまった事が問題である」だから、「彼の主張を否定することが自分の罪滅ぼしになるのだ」、と。
『健康食と危険食』を数回に渡りしつこく紹介してきた理由の一つはココにあったりする。この本に書かれている内容は、すべて陰陽の原則が正しいという前提を出発点にしており、その中に自分の専門である漢方や代替医療のエッセンスを採り入れたモノだ。その主張の正しさを裏付ける検証などは殆ど無く、自分の経験や陰陽の理屈からその正しさを主張するばかりだ。現代医療、栄養学には懐疑的であるも、亜流、傍流である代替医療については疑うそ振りも見せずに推奨をし、その幾つかは現在では完全に否定されているが、なかでもビタミンB17についてはガンの治療以前に健康を害する危険性が指摘されるほどだ。
これでは彼が否定したGと何が違うというのだ。自分の思い込みだけで根拠なき健康法を奨めるという点では全く同じではないか。
自分たちが進めてきた食養理論により健康被害がでたとすれば、その根本の教えを疑い、初めから検証を行う事が必要なはずである。それこそが、反省を口にする彼の責務ではないだろうか。
「食養には誤ったモノが多くあります、気をつけましょうね。私はあの人とは違うんですよ、大丈夫です」
どらねこにはそういっているようにしか見えないのね。
ゼンメルワイスとはホント対照的な人間だね。暴論ゴメン。

次回はこれに関連して石塚左玄の事を書く予定

※追記
burie様ありがとうございました

*1:ビタミンB17と呼んでいるが、人体に必須ではなくビタミンではない。これはアミグダリンの事で、経口摂取すると体内で猛毒の青酸を発生させる虞がある。青梅の種は食べちゃだめと言う話の根拠