合わなかった自分

自分は接客業に向いていない。そう結論づけて前の仕事を辞めたどらねこ。勿論、理由はそれだけではなかったけどね。所謂負け猫というものだろう。自分が接客業に向いていない理由をちょっと考えてみた事があった。
簡単にいうと、海原雄山みたいな性格だからだ。海原雄山みたいな店員が接客していたらイヤだよね。まぁ、外見は海原雄山みたいじゃないけど。
スーパーマーケットの社員だった猫の皮を被った雄山はいろいろ考えたわけだよ。『お客様(顧客)最優先』ってなんだろうな、と。
自分たちの行動原理はすべてこの考え方が基準となる・・・例えば、売り場でタマゴを落としてしまった人がいたとすればまず、心配しなくて良いことと、服が汚れていれば奇麗に拭き取り、新しい商品をすぐに手渡し買い物を続けて貰う。気持ちよく買い物をしてもらう事が優先事項だから。単なるお客様ではなく、顧客(お得意様)に成っていただきたい。顧客は勿論、顧客最優先のサービスを求めて何度も来店してくれるわけだ。
そんなお店で顧客が店員の態度に不満を覚えたとしよう、その場合に顧客が憤慨し、その内容に対して抗議するのは当然の事なのだろうか。それは当然だと思うし、客は自分が期待するサービスを店員若しくは店長に求めていくのは納得できる話だ。何を提供するお店なのかを知っていた顧客だからこそ、期待はずれの内容について抗議する事に何ら違和感を感じない。
顧客と客を分けるモノ
買い物客として常識的な範囲でお店に期待しているサービスは出来るだけ提供したい。しかし、それは個人の我が儘と切り分ける事は大変にやっかいである。大抵はその切り分けを保留し、なるべくその個人が満足するサービスを提供するように努める事が多い。勿論、不当な要求については断固として退けるが、それが接客サービスに関わる事になるとホント難しい。少なくとも自分にとっては本当に難しかったのだ。
繁忙期、混乱した売り場に於いて、平常時のサービスを求める客がいたとする。繁忙期のスーパーはまさしく戦場で、個人の要望には応えられる余裕は殆ど無い。例えば商品は売り場を拡張し平積みにする。なるべく多くのお客様に余計な時間をとらせず商品を引き渡したいからだ。その場面で個別包装を要求したり、単品売りを要望する人がいたりするのだが、そういったときにどのように対応したらよいのかものすご〜く悩んでしまうのだ。
いつものサービスに応じられない事を事前に張り紙しておけば問題は無いのだが、想定外のサービスを要求された場合、さてどうやってお断りしたらよいのか、若しくは笑顔で承ったらよいのだろうか・・・
こんなのもある。例えば、『ご自由にお持ち下さい』その下に置かれた小袋のしょうゆやラードなどの半分ぐらいをごっそり買い物籠に入れてしまう強者がいる。そういったサービス品はだいたいの消費量を計算していれてあるけど、商品じゃないから発注管理もそれほど厳密じゃなくて売り場から切らしてしまう事になりかねない。そんな時でも、ごっそりさんに注意するのは並大抵の事ではない。すげ〜、消耗する。
顧客最優先だからこそ、注意したいのである。他のお客様の利便が大事だからだ。でも、注意されたお客さんは顧客最優先なのになんたることだ、なんて怒るのね。で、有ること無いこと周囲にぶちまけたりするんだよね。あと、クレームの電話を本部に入れたり。
こんな事はいっぱいある。店内を走り回る子供を注意するのは子供のためでもあるし、他の顧客の為でもある。商品を乱暴に扱う客には注意できないが、ホントだったら注意したいところだ。
そういった顧客最優先を勘違いしている客は別の顧客が得られるはずの利便性を不当に侵害する寄生虫みたいなものだと思っている。しかしその風景は別の顧客からはなかなか見えていないのだよね。
顧客ではない客の自己中心的な我が儘は他者の権利を侵害している。
海原雄山などらねこは我慢が出来なかった。タダそれだけである。
買い物するときは他者の権利や利便を侵害しないように気をつけたい。

(黒猫亭さんのようには書けないなぁ。感情爆発がどらねこ流か)