食塩摂取量の推移

ちょっと余裕ができたので平成24年 国民健康・栄養調査の結果概要を眺めていました。栄養摂取状況については特に目立つところもなく、エネルギー摂取量の減少傾向も一段落ついたのかな、という感じです。
さて、日本人の食生活の課題として一番問題と考えられるのが食塩摂取過多ではないでしょうか。最近は減少傾向とはいえ、WHO/国際高血圧ガイドラインの指針である食塩摂取量6g/日とはほど遠い状態ですし、2015年に達成したい目標量として厚労省が示した男性9.0g/日未満、女性7.5g/未満も難しい状況です。


■今回の結果はどうだった?
そんな食塩摂取量ですが、24年の調査ではどのような結果がでたのでしょうか。どらねこなりに評価してみたいと思います。
まず、摂取量自体の推移*1を見てみましょう。

1990年代のピークからほぼ一貫して下がってきている様子がうかがえます。特に2000年を過ぎたあたりからの減少傾向は素晴らしく、1980年代の水準を下回ったあとも減少を続けております。今回調査では男女平均で10.0g/日でした。


■食塩摂取量だけを見ない
以前も述べましたが、こうしたデータを見る上で気をつけなければならない点がいくつかあります。食塩摂取量を見るときに大事なのがエネルギー摂取量との関係です。ちょっと大ざっぱに説明するとたべものの総量とそれに含まれる食塩の量も見ましょうね、という事ですね。
単純に考えて同じ物を食べるのならたくさん食べる人の方が食塩量は多くなりますし、あまり食べない人は少なくなります(当たり前すぎますね)。もし同じ量を食べていて食塩量に違いがでるのでしたら、食べものに含まれる食塩濃度が違うという事を意味します。
エネルギー摂取量は食べものの量とイコールではありませんが、食塩濃度がどれぐらいの食事をとっているのかの参考にはなるでしょう。というわけでエネルギー摂取量の推移グラフも見てみましょう。

ほぼ一貫して減少傾向であったのが今回の調査ではぴょこっと持ち直しておりますね。
このエネルギー摂取量を参考に、食事1000kcalあたりの食塩量をグラフにしてみます。

最初の食塩摂取量の推移のグラフが緩やかになったような印象ですね。2005年頃にようやく1980年代の水準に戻り、その後緩やかな減少傾向を続け、ここ数年は着実に減少している様子が見られます。


■見えてくるもの
普段見ている食塩摂取量の推移ではもっと前から減少していたように見える食塩摂取量も実際に薄味傾向が見えてきたのはここ7、8年くらいであるようにデータは物語っております。それ以前は日本人の少食傾向が見かけの減塩をつくりだしていた可能性があるという事です。
目標にはまだまだ遠いですが、今の流れを止めないよう減塩運動を盛り上げていって欲しいと思います。

*1:今回推移を見るにあたり公表されているデータのみからグラフを作成する都合上、全年齢平均を採用しています。食塩摂取量として示される20歳以上平均とは異なるものなので注意が必要です。