値引きしいる

貧乏などらねこは、スーパーの精肉コーナーでは真っ先に赤いシールを探してしまう。
『レジにて表示価格より30%引き』
ラッキー!
店員さんがシールを貼ったその瞬間に100円だった商品は70円で購入可能になるのである。
値引きシールはそれぐらい凄まじい威力を持っているものなのだ。
元スーパーマーケット社員であるどらねこが、個人的な経験と知識を元に適当に書き散らかしてみる。全国的なスーパーで同様な事が行われているという話ではありませんので、誤解の無いように。

値引きシールは強力だから、値引きシールが貼られる瞬間を待つハンターさんもいらっしゃる。ハンターの挙動も様々で、店員を獲物のようにつけ回すストーカータイプや、物陰からそっと覗くような待ち伏せタイプ、店内をうろうろする徘徊タイプなど個性的で面白い。
うぜーのはストーカータイプなんだけど、一定の距離を置いてくれるハンターはまだ良いが、息がかかるような近接型は正直勘弁して貰いたい。しかし、最悪なのは・・・
『これ、買うから貼って頂戴』
それ、さっき出したばかりの新しい商品なんだけど・・・えっ、こんな話はどーでも良い?失礼いたしました・・・本題行きます。

■どのタイミングで貼られるの?
値引きシールを貼るタイミングは部門によって異なります。例えば、日配部門(豆腐とか納豆とか牛乳とか)では、開店前や開店後まもなく貼ることが多いです。賞味期限が迫ってきた商品を売り切る為、陳列数を見ながら値引き率を考えてペタリとやります。精肉部門では、ラベルに貼られた消費期限は勿論関係しますが、ドリップという肉汁が流れてきたり肉が酸化して変色が始まったりしたのをみて値引きシールを貼る場合があります。夕方の売り切りピーク頃に貼られる事も多いですね。惣菜部門は閉店2〜3時間前くらいから貼り始める事が多かったでしょうか。弁当については製造後5時間を過ぎたら値引きをするというやり方をしている店も有りましたね。

■なんで値引きするの?
商品は時間とともに劣化するので、いつまでも店頭で販売は出来ません。販売できなくなってしまった商品は捨てるしか有りませんが、捨てるよりは値引きして売った方が良いからですね。で、なんでこんなアタリマエの事を書いたのかと謂いますと、値引きするよりも捨ててしまう事を選ぶ場合が有るからなんですよ。

■値引きのワナ
同じように食べることが出来るのだったら、たいていの人は(でも、所謂健康食品はある程度値段が高い方が売れるという・・・)値引きされた商品を買いたいと思うはず。一度、おいしい思いをしたヒトは同じ商品を定価で買うことに抵抗を覚えてしまう可能性があるのですね。だから、スーパーもむやみやたらと値引きはしたくないわけ。値引きをしない為にはどうすればよいのか、それも(ちゃんとした)スーパーは十分考えていて、売れそうな商品を売れると予測される数量発注をかけるわけです。少なくなってきたら、発注をかけて補充します。日付の違う商品が並んでいたりしますよね。解凍して陳列できる商品は、店頭の売れ行きを見ながら調節できるのでコントロールはしやすいんじゃないかな。

■値引きになりやすい商品
季節商品とか、売れ方が予測できない商品は値引きになりやすいと思います。あと、品揃えの為に置いてある商品もそうですね。沢山売れるものだけを置いているお店だとつまらないからある程度そういった商品も置きたいモノなのですね。必要コストということかな?

■毎日値引きされる商品がある部門
それは総菜部門ですね。あと、鮮魚部門のお刺身コーナーかな。店内で加工された商品はよく値引きされます。それは消費期限が当日若しくは次の日までだったりするからです。消費期限が当日だと、予測に基づいて生産し、陳列した商品が予測通りに売れない場合に調整が難しいという事があります。予測は当該商品の昨年同時期の買い上げ点数、最近の動向、曜日、チラシの内容、競合店の動向、天気予報などを勘案して悩みに悩んで決められます。そう大きくは外さないのですが、やっぱり余ってしまう事があります。大きくやらかしてしまったときに『半額シール』が登場するんです。

■必要な値引き
引き続き総菜部門を例に説明します。スーパーの営業時間は延長傾向にあり、ピークを過ぎた後もダラダラ(?)と店を開けております。ピーク時ほどは力をいれて売り込みはしませんが、夜遅く店に来て頂いたお客さんは結構出来合いの商品を買っていってくれます。わざわざ来てもらったのに総菜コーナーがすっからかんだと申し訳ないですよね。そんなニーズに応えるためにも、その時間に商品をある程度残しておきたいというのもあります。予想以上に売れてしまっている状態で値引きをしてしまえば、売り場が寂しくなるので値引きをしないでそのまま残し、売れ残っているようなら値引きの割合を調節して、ちょうど良い売り場になるようコントロールしてるはず。

■あれだけ値引きして儲かるの
スーパーの商品はそれぞれ販売価格に対する原価率は異なりますが、部門によっても大きく違うんですね。青果部門では市場で仕入れてきた金額とあまり変わらない値段で売られる事が多いんです。魚も一匹まんまで売られる商品もそうですね。お造りになると儲けが出ます。お菓子や日配商品は安定した利益を確保する商品ですね。中でも一番原価率が低いのが総菜コーナーと謂えるでしょう。(店でパンを作っている場合はソレも)だいたい販売価格の40〜50%が原価です。スーパーとしては、他の部門の品揃えを良くし、なるべく多くのお客さんに来てもらい、原価率の良い商品も買って頂きたいという思惑があると思います。閉店間際では、値引きされた総菜を買うついでに、ジュースやお酒、おつまみを買ってもらい利益確保をねらっているのね。

どらねこ個人的見解なんだけど、スーパーでの楽しいお買い物のお役に立てれば嬉しいな。