今年の日本選手権も10000mが楽しみだ

※昨年の「日本選手権10000mは見応えのあるレースだった」というエントリに引き続き、陸上競技ファンでないと楽しめない記事です。


陸上の日本選手権は基本的に6月に行われる事が多い。南半球で行われたシドニーオリンピック選考会の時は違ったような気はするが、今年の開催6月で、いよいよ7日に開幕をする。
昨年の男子10000mは、佐久長聖高校出身の先輩後輩がラスト一週、それもゴール直前数メートル前まで結果がわからないぐらいの壮絶なスパート合戦の末、先輩の佐藤悠基選手が後輩の大迫選手を抑え優勝を勝ち取った。
今年の大会も昨年同様、いやそれ以上の盛り上がりを期待できるメンバーがそろっている。


■エントリーリスト
出場選手はエントリーリストで見る事ができるが、一流選手の証とされる、ベストタイム27分台の選手が12人も名を連ねているのだ。
これは、過去の大会を振り返っても最多ではないだろうか?
更に楽しみなのは、昨年のレースを盛り上げた佐藤悠基選手と大迫傑選手がそろってエントリーをしているだけでなく、大迫選手が今年になって大きく自己ベストを更新する27分38秒31という日本歴代4位の記録をたたき出しているからなのだ。しかも、このレースでは1秒ではあるが佐藤選手を直接対決で破ってのものだから価値がある。もうどちらが勝ってもおかしくない状況なのだ。


■どらねこの優勝予想は?
と、大迫選手有利なような書き方をしてきましたが、どらねこは佐藤悠基選手の優勝を予想します。
大迫選手には負けたというものの、そのレースでは自己二番目の記録を出していること、今年の東京マラソンで初マラソン2時間16分31秒と苦しいデビュー後2ヶ月も経っていない時期での記録である事がとても評価できると思っています。
これはマラソン経験がプラスに働いている事の証左とも考えられますし、調整次第ではこのときからの十分な上積みが可能です。
事実、本番を一週間後に控えた6月1日の世田谷記録会の3000m走に出場した佐藤選手は、2000mまでは集団で楽々走り、そこから余裕をもったスパートで一気に引き離し、8分5秒01と2位に4秒差をつけて悠々ゴールしました。本番でのラストスパートの切れ味を確認し、自信を持って臨んでくることでしょう。


■かけひきも楽しみ
好記録が出て欲しいとは思いますが、選手権大会ですから優勝することが最大の目標です。その優勝をするためには作戦も非常に大事になってきます。スローなのかハイペースなのか、特定の選手をマークするのかなどなど、ちょっとした展開の違いで順位が入れ替わるぐらいメンバーが揃っています。
この展開を面白くしてくれそうな選手が、これまた佐久長聖高校出身で佐藤選手の先輩である、上野裕一郎選手です。この選手は佐藤選手が破るまでの日本人高校記録保持者で、ラストスパートの切れ味だけをとれば、出場選手中ナンバーワンと謂えるでしょう。事実、過去の日本選手権1500m走の優勝選手です。
大迫選手や佐藤選手がお互いを意識し、極端なスローペースになるようなら、まとめてぶっちぎる姿が目に浮かびます。これはどらねこ以上に佐藤選手も感じているでしょうから、スローペースへの抑止力になる事でしょう。
ハイペースで引っ張る事が得意な宇賀地選手やハイペースでの粘りが信条の宮脇選手などレースを盛り上げる役者は十分なほどそろってます。
どんな展開になるか想像するだけでワクワクの10000m走。誰が勝つにせよ、これを機会に世界で闘って欲しいと思います。