ぷるぷる呪術

コラーゲンを食べる事でお肌がぷるぷるになると謂う話は、とらねこ日誌を読んで下さる方には今更説明するまでもなくバカバカしい話として受け取ってもらえると思いますが、ちょっと流行しただけでなく、いまだに出回っているのを見てどうしてだろうなぁと考えてしまいます。そこでテキトーにその理由を妄想してみました。


類感呪術
同じ性質を持つものや体の悪いところと同じ部位を食べる事で病気が治るとか健康になれるみたいな考え方は類感呪術と呼ばれる呪術に分類されるものです。

コラーゲンでお肌ぷるぷるについては次のような流れがあるんじゃないかと思います。

肌のハリにはコラーゲンの架橋が大事である
→コラーゲンが失われていくと肌が衰える
→コラーゲンが豊富な物を食べれば良い
→コラーゲン豊富なゼラチン質の食べ物が良い

実際には消化によりアミノ酸にまで分解されちゃって肌のコラーゲンに積極的に利用されるなんて事はないのだけど、不足すれば補えば良いと謂う考え方はまぁ、栄養学の基本ではあってそれなりに妥当ではあると思います。ただ、初歩レベルの生化学。生理学、栄養学、の知識で簡単に棄却できる類いの話です。このような誤った言説が簡単に払拭できないところが、呪術的な思考と人間の結びつきなのかな、と思います。


■それにしても
とは謂え、単なる似たような成分を食べれば良いと謂う話で片付けてしまうには随分と広まっており、いまだに人気があるように思います。心をつかむ何かがあるように思います。
どらねこは直観的にも呪術的思考をくすぐるからなのでは?と睨んでおります。
でしっかりと煮込んだ魚の皮や軟骨を鍋からお箸で取り出せば照明で「つやつや」と光り輝き、レポーターが箸を揺らせば「ぷるっぷる」に弾力感をこれでもかとアピールします。こうした視覚的情報が、もちもちした赤ちゃんのほっぺたや、若かりし頃の自分の肌に結びついてしまうのかもしれません。そうして精神状態にあるところに、もっともらしい科学的に見える説明が付け加えられると、強力な説得力を持ってストンとその人の印象に残るのではないでしょうか?

今でも強固に残る食の迷信は多くの人が自然に持ち合わせている呪術的な思考と切っても切れない関係にあるのだと思います。