サベツくん

あるとき、サベツくんが歩いているとうなだれているウシヤマさんにあいました。
ウシヤマさん「あ〜、むしゃくしゃするからオマエをサベツするっ!」
サベツくん「サベツをスルヒトは醜い顔になるんだよ」
サベツくんはいいました。
「じゃあ、ネコザワさんがボクを、この反芻動物め!と、サベツをしたらどうなるの」
「こうなる!」
「もきゅぅ!」
空には上から目線の、唇を歪めたネコザワさんが浮かんでいました。
「サベツをしているヒト(?)の顔はみにくいものなのですね〜。じゃあ、ボクが君をサベツをしたらどうなるの?」
「こうなる!」
「もふぅっ!」
ウシヤマさんは怒ったようにいいました。
「ワタシには鏡で見るいつもの自分にしか見えないよ」
サベツくんは当然のようにいいました。
「サベツをしているヒトは自分では気がつけないことが多いんだ。ボクにはウシヤマさんの顔が醜くゆがんで見えるからね」
ウシヤマさんは哀しそうにいいました。
「もしかしたら、ワタシのことをサベツしたヒトも自分では気づいていないのかもしれないのですね」
「ボクのうちには面白い絵本がいっしょに読もうよ!」
そらに浮かんだウシヤマさんは誰の目にもわかる楽しそうなほほえみをうかべていました。