ゼンメルワイス物語あとがきのようなもの

表のブログでは現在、母子の健康と代替医療というシリーズを書いているところなのですが、自分がこの問題に興味を持つ切っ掛けとなったゼンメルワイスの物語を紹介してきました。本日、無事物語の最終話を書き上げました。是非皆様にも知っていただきたいお話しなのですが、私の読んだ本、『医師ゼンメルワイスの悲劇』は既に絶版となっておりました。読ませる文章を苦手とするどらねこが長文に挑戦したのはそういう理由が在ったからです。
ところで、最終話を書くに当たり悩んだことがありました。当初はお涙頂戴的な狙った文章にしようかな、と考えておりました。彼の話をマクラに、代替医療によってもたらされ得る被害を感情面に訴えて糾弾する事を考えていたのです(無意識のうちに)。しかし、彼の業績を調べるうちに、そんなので良いのか?そう悩むようになりました。彼は自分を妨害した者達に対してさえも感情的に反論しませんでしたし、糾弾を目的としませんでした。産褥熱を予防することそれが彼の目的の全てだったのです。泣き叫ぶ赤子を旗印に感情に訴えかけるようなやり方は行わなかったのです。彼は純粋に統計と疫学的手法を用い、自らの主張を証明し、愚直にその正しさを訴え続けたのです。
自分としては最終話の論調を押さえたつもりでいるのですが、そういうことです。
余談になりますが、この物語を書くために資料を集め、本も読み直したのですが、いったい何度泣いたことか・・・ホント泣いて泣いて泣きまくりました。ゼンメルワイスが病因究明のために剖検を繰り返し、それが原因でより多くの妊婦を産褥熱に感染させたこと、そしてその事実を知った彼の胸の内を考えたとき、更に、学会からは認められず最後の手段として街頭演説を行い民衆に直接治療法を訴え続けたその信念。なんか、タキオンをつかって、過去へ警鐘を送り続けたレンフェリューがダブりましたよ。そして、偉大な彼には似つかわしくない精神病院での非業の最期。もう、ダメです。
 この物語を読んで尚、危険な代替医療に手を染める人がいるのだろうか。産褥熱発症のメカニズムを知って尚、設備の整わない自宅出産を勧める人はいるのだろうか。私の頭には疑問が吹き荒れました。
 次回以降は物語を読んだどらねこが自然出産等の代替医療に感じた疑問や異議を書いていく予定にしております。変なところがあったとしてもそれは全てどらねこのせいです。ゼンメルワイスの業績とはなんも関係がございませんので、そこの処はどうか宜しくお願いしますね。