ちょい昔の事情

自然な出産とか助産院とか母親の気持ちなどを調べる過程で読んだ本。
今はどうなのかなぁ、なんて考えた。
以下引用文は全て 母性の社会学 船橋恵子・堤マサエ著 サイエンス社 からのものである。

p242
母親が出産した施設をみると、七割は個人の開業医院、三割は総合病院という割合であった。そして、母親が出産した施設を選んださい、宣伝や広告などの情報源ではない。むしろ友人、知人、身内の人、近所の人がよいというところを選んでいるのである。

この他、母親学級に医師が関わっているかどうかも、施設選択に関わる要素だと述べている。
現在で考えると此処にネット情報というのも大きく割り込んでくるのでは?とも考えるが、やっぱり口コミ評判重視は変わらないだろうなぁ、という印象。これは所謂善意の人が出産施設選択に大きく影響を及ぼすことができる可能性を示唆している。

p243
では、母は施設にどのようなことを期待しているか。出産は設備のよい、医療機器の整った病院で、医師の指示のもとで産ませてもらうという傾向があるのか、さらにまた、分娩の管理、介助者や医療スタッフ側の意図が反映した出産イメージが作られているのか否か、をみてみた。これによると、多くの母親は、出産は自然な営みであるから自然分娩のできるところがよい。そして、母乳指導や子育ての指導が親切でていねいなところがよいという。

やはり母親はイメージとして自然な分娩を求める傾向にあったようだ。

p245
ところで次に、子どもを産むとしたらどんな場所で、どのような方法がよいかを問うた結果、次のような傾向があった。母親の三人に一人は、総合病院で家族的な雰囲気の中で、しかも自然分娩で産むのがよい(36.7%)という。やはり多くの母親が望む条件は、家庭的雰囲気と自然分娩である。小さな開業院で夫や信頼のおける人に囲まれた家庭的雰囲気もよいかとみられるが、これは14.6%のみであり、むしろ、施設のよい開業医院で、自分の欲求をみたしてくれる意志の元で産むことの方が(30.4%)よいという。ただ、家庭的雰囲気のみではなく、安全であるということも大きな条件になるということが挙げられる。

自然分娩と口コミがキーワードとなりそうだ。
所謂家庭で自然なお産とか、助産院で完全母乳育児指導なんていうのは潜在的に望む傾向にあり、善意のヒトからの口コミは大きな影響力を持ちそうである。
しかし、同時に安全を求めており、両者を同時に満たせないケースが往々にして存在する事を適切に知らせることで踏みとどまらせる事ができるのではないかと思う。
中学校、高校そして、高等教育の現場に於いて同じ事でも繰り返し情報提供する必要があるのではないか、どらねこ的にはそう考えている。

今日はオチも暗黒も何もないですスミマセン。