東京へ行ったダヨその2

今回は別に面白くもない話です。

グリセミックインデックス関連の学術集会みたいなものに参加した
東京出張は遊ぶことが目的じゃなくて、こっちが本題だったんだよ、ホントだよ。
食べ物が食後の血糖応答にどのように作用するのかを明らかにするのがテーマ(だよね)の学術集会なのですが、糖尿病食事療法がエネルギー(カロリー)重視から糖質の量と質重視に大きく変化する事が期待される(つつある)現状に於いて、食物と血糖応答というのは熱いテーマだと思うんですよね。
この分野はヒト相手のデータを取っていく事が大切なんだけど、日本では食品の大規模な臨床試験みたいな事は難しいから信頼性の高い日本人のデータは簡単には得られない。でも、小規模な研究でも各所で活発に行われるようになれば、ある程度妥当性を担保出来ると思うんだよね。最近はようやくデータの蓄積が為されてきて、日本人の「食品とGI」というのがだいぶ見えてきたみたいです。そして、どのような食べ方をすれば、血糖上昇を抑えられるのかという蓄積も出来てきたようです。

■演題を見ながら思ったことなど
演題の一つに長芋のGI(グリセミックインデックス)を取り上げたものがあって、興味を持って聴きましたよ。以前、とろろソバはただのソバより血糖値を上げにくいという話を見ていたので、どんなものなのだろう?と、思っていたところ、白米を基準食とした長芋単独のGIは10前後で、白米と長芋を組み合わせたものでも、血糖上昇抑制が確認できておりました。面白いのは、加熱した長芋では、血糖上昇抑制は確認できなかったというところ。此処に何が効いていたのかヒントが有るような気がします。いろいろかんがえちゃいますよね〜。
例えば、粘性そのものが効いているとか、デンプンの立体構造に拠るものとか、生デンプンを摂取した事が影響しているとかね。

■学生には辛いかも・・・糧となれば
概ね楽しい発表が多かったのだけど、一つ残念なのがありました。米粉パンと通常の食パンのGIを比較したというもの。
結果は基準食に対するGIが、米粉パンで100、食パンで110というものになり、米粉パンの血糖応答はゆるやか、というもの。
米粉パンと食パンにあまり変化が無かった事に対する考察に、米粉パンには食パンに比べて倍以上のバター(45対20)が含まれていたからではないか、というものがあった。それを見てあ〜あ、とがっかりしてしまったどらねこでした。だって、糖質と脂質の同時摂取は食後の血糖上昇を緩やかにすることが多いというのは、GI研究者の間では常識だと思っておりますので。
おそらく、米は健康に良いモノという先入観と、望ましいと考える結果が判断に影響を与えてしまったのでしょう。誰しも陥りがちの心理状況だと思います。でも、発表者は学部生っぽかったので、今回の経験が良い糧となればいいですね。発表後にはすぐ、その件について突っ込みが入っておりましたよ。今頃は文献を当たっているんじゃないかな。
で、学生は問題ないのですが、少々気になるのは抄録に記された連名です。ちょっと調べたところ、栄養関連分野の教授と助教が名を連ねておりました。発表資料に目を通さなかったのでしょうか、それとも見逃してしまったのでしょうか、若しくは、学生の考えをそのまま発表させようと考えたのでしょうか。
その何れにしても連名者は発表に責任が生じるモノだと思います。事前に確認していてなお、問題点に気がついていなかったのだとしたら、ちょっと残念ですね。
糖尿病療養に於ける糖質コントロール食(そのヒトに合った食事法という様な意味)が浸透していくのはもう少し先なのかも知れません。