鏡を携えたどらむすこ

妻にアンパンマンを書けとせがむどら息子1号。一通り書いて貰い満足したようだ。今度は自分で書いてみて、と紙を渡したのだけど、なかなか書こうとしない。
ジャムおじさんを書いてみて」
そしたら、丸を書いた後になにやら糸の様なものが放出された哀れなジャムができあがった。
「帽子はどうしたの?」
どうやら自分が書いた物に満足をしているようだ。
良いことかどうかわからないけど、息子の手にペンを握らせ、上から彼の手を握ってジャムおじさんを書いてみた。
ジャムおじさん!!」
喜ぶ息子。
そうして、紙を握りしめ、妻の処へ。
ジャムおじさんを書いたよ」
どうやら自分が書いたことになっているらしい。
彼自身が自分の手を使って書くことが自分の絵であるとすれば、その過程はどのようなものであっても、自分が書いた絵なのだろう。
彼を操って書いたつもりの自分が、彼に操られ、絵を描いた自分ではない保証は無いのだから。