あなたのあなはおいくつですか

 人間の体には穴は何個あるでしょうか?貴方であれば、何個と答えるでしょう。

『とある人は、鼻と入口・出口を一つの穴と見なし、5つと答えた』

『またある人は、前者の主張を引用しながらも、一つの穴と見なせばという主張の恣意性を糾弾し、頭部には穴が7 つ存在すると主張を行った』

その内訳は、左右の目、左右の耳、左右の鼻の穴および、口の7 つであるとしている。
 なぜ突然、頭部に限定したのであろうか、これを恣意的と言わずとしたら、パロディとしか言いようがないではないか(笑)。全て分かった上で暴論を展開するこの悪辣さ、これが常に冷静且つ公正な姿勢が周囲から評価されている論客の正体なのである。

Yahoo!辞書(大辞泉)では『穴』を次のように説明している。
1 反対側まで突き抜けている空間。「針の―」
2 深くえぐりとられた所。くぼんだ所。「道に―があく」「耳の―」
3金銭の損失。欠損。「帳簿に―があく」
必要な物や人が抜けて空白になった所。「人員に―があく」
不完全な所。欠点。弱点。「下位打線が―だ」「彼の論理は―だらけだ」
4 他人が気づかない、よい場所や得になる事柄。穴場。
5 競馬・競輪などで、番狂わせの勝負。配当金が多い。「―をねらう」
6 世間の裏面。うら。

 人体に当てはめるのであるのだから、この場合は1又は2あるいは、1と2両者が適用されると考えてよろしかろう。問題は、どの定義を採用するかで答えが異なってしまうことである。
 まず、穴の定義を○○である、と置かなければならないのだ。
 1を採用すると、極端ではあるが、穴は1つであるとも見なすことが可能なのである。それは人体を貫く、消化管に他ならない。1が究極の数字であると主張する筆者ではあるが、ここでこの論を正当化してしまうと、アナグマの仲間入りをしてしまうので、ここでは結論を示す事は控えよう。
 もう一つ言えば、2の定義を用いた場合でも、臍という重要な問題が潜んでいることを指摘しておきたい。

 穴という存在はなんと罪深くなぞめいた存在なのであろうか。