謎解き超科学が発売されました

ついに「謎解き超科学」が発売となりました。どらねこも道良寧子(みちよし ねこ)として、どんな反響があるかしらとドキドキしております。24日の夜現在、都内の大型書店を除くと入手しにくい状況(ネット書店も)にあるようですが、問い合わせをして頂ければ店頭にも並ぶ可能性も増えますので、ニセ科学対策的にも協力頂ければ嬉しいところです。勿論、どらねこの売れて欲しぃ〜という卑しさも含まれております。
まだ手にしていない人がほとんどと思いますが、今回は本の中身にもすこし言及した感想などを書いてみようと思います。

目次や各項目についてはASIOS公式ブログを参照していただければと思います。
http://asios-blog.seesaa.net/article/377956190.html

購入については出版社のページからオンライン書店へのリンクがありますので、よろしくお願いします。
http://www.saiz.co.jp/saizhtml/bookisbn.php?i=4-88392-957-3

ASIOSメンバーによる本の紹介は「『謎解き超科学』でニセ科学に騙されないための足場をつくろう 」という記事を参照して下さい。
http://lets-skeptic.hateblo.jp/entry/2013/10/24/113503



■読んでみての感想
いつものASIOSの謎解き本の色は残しつつ、日常生活との距離の近い疑似科学ニセ科学にもクローズアップした意欲的な一冊であると思いました。各項目については、過去の謎解きシリーズで言及されたものや、ネット上ではすでに検証されているなど、新規性が高いとは謂いがたいものですが、これが一冊の本にまとまって出版されたのは大きな一歩だと、ニセ科学批判(批判)をネット上で行って来た身としては感じております。
この項目は広く読まれて欲しいなぁと思ったものを幾つか挙げてみますとこんな感じでしょうか。

p34 「磁気がコリをほぐす」は本当か?
p68 万能細菌「EM菌」とは?
p225 ホメオパシーで病気は治るか?

これら情報は、どらねこにとって以前から馴染みのあるものですが、普段の生活にも影響を与えかねない身近な問題として多くの方に知ってもらいたいものだからです。

次に、読み物として面白かった項目を挙げてみます。

p96 隕石落下はどれぐらい危険か?
p111 動物の地震予知はあてになるか?
p201 人間は真空中で破裂する?


そのウチ二つが横山さん担当項目でした。文中で気に入ったフレーズをネタバレにならない範囲で引用させてもらいます。

p204より
バラバラになった後でバラバラになる心配をしても仕方がないだろう。

こうしたちょっとシニカルだけど的確な指摘というのはシブくて格好いいのよね。



■みどころ
各項目、その真偽の検証こそが見所なのは当たり前ですが、もう一つ注目して欲しいのが、最後の締めの部分ではないでしょうか?
科学的な手法で根拠を求めて真偽を探る本書ですが、その締めについてはそれぞれの著者の「考え方」や「願望」などが現れてくる面白い部分です。
「ボクはこう思いますが、アナタの価値観に照らしてみるとどうですか?」というように、読者にも考える事を求めたりします。
検証のスタイルについては差はありますが、担当項目をシャッフルしても真相部分はそれぞれ同じような結論が導き出されると思うのですが、締めの部分はきっと大きく違ったものになるように思います。それぞれの項目について、どらねこだったらこうやって締めるなぁ、と想像しながら読んでみると、考えの近い人やそうでない人がいて、これもまた面白く感じました。
例えば、EMや水からの伝言等の締めを見ると、著者の蒲田さんとどらねこは考え方や興味の対象が似ているように感じられました。それとは逆に、サプリメントについて考察された石川さんの記事については、社会と個人の関係性についてその重きの置き方が違うのでは?と思わせてくれるなど、また興味深かったりします。勿論、これはどちらが正しいというような問題ではありません。
検証とそこから導き出される評価は同じなのに、その先に個人の価値観や立場さらには文化的背景(やそれに伴うバイアス)などが対象への関わり方、取り扱い方などについての考えに違いをもたらしているのだろうと考えると面白いしとても楽しく感じられます。優先順位問題などもこうした心理から生まれてくるんでしょうね。


■結論はみんなクロ?
ところで、こうした本は批判の為に疑似科学ニセ科学を集めたのだから、検証する前からクロにきまってるんじゃないの?という風に思われているかも知れません。
基本的には、これはオカシイよね?という意見があるものを選んでいると思うのですが、はじめから全てクロと決めつけるのではなく「実際に検証をしてみて部分的であっても正しいところがあればそれは正しい、結論が不明であれば、不明である事を述べて下さい」という趣旨で原稿を依頼されました。
どらねこはこの事に注意を払い「母乳神話」の項目については特に配慮を行いました。結果的に「クロ」一辺倒では無い検証本というスタンスに貢献できたのでは無いかと思ってます。個人的にもイチオシの項目ですので、是非よんで欲しいと思ってます。


■おわりに
とはいえ、ここまでの書評擬きは内集団贔屓から完全に自由になれないだけでなく、自身の利益も関係するバイアスが心配されるものであります。筆者の一人としては、そうしたバイアスから自由な立場の人からの評価を頂きたいと考えております。
書評や内容や手法についての建設的な言及を頂ければ幸いです。どうぞ宜しくお願いします。





■おまけ
横山雅司さんの記事2つが気に入ってしまったどらねこに、著者からのオススメがありましたので『憧れの「野生動物」飼育読本』を買って読んでみました。
なんと「アライグマ」も言及されているじゃないですか。愛らしい外見とは裏腹に凶暴な彼らの性質と危険性を愉快なイラストとともに紹介しています。

どらねこは【アライグマを『荒威熊』と呼びましょう】委員会会長ですが、この本は委員会の課題図書として水洗推薦したいと思います。
委員会についてはコチラ参照→ http://d.hatena.ne.jp/doramao/20110716/1310801950

個人的には、飼うまでの準備に続き、実際の飼育中に気を配る点など実用的なところを増やしてくれたらなぁと思いましたが、ボリュームもあるから仕方が無いのでしょうね。