たべものは旬のものだけたべるのが良いの?

「昔ながらの日本食が健康に良い!」
という言説に対し
「いや食塩の問題があるよ」

とか
「そもそも、その日本食ってどんなものなの?もしかして、ごはんに汁物、メインとなるたんぱく質ものに、煮物と漬け物が付いているものイメージしていない?それは1970年代に定着したものだよ?」
などと反論を述べてきたどらねこですが、その認識はやっぱり強固だなぁと思います。
今回はまた少し違った角度でお話しをしてみようかと思います。


■旬と生鮮食品
「昔の日本はその季節にとれる旬の食べものを料理していた。ところが、現代は季節に関係なく野菜が店頭にならび、旬を感じる事はできない」
なんて、指摘をする人がおります。更には
「旬の野菜に比べ、それ以外の時期に採れたような野菜は栄養価が低く、栄養補給の面でもやはり問題がある」
なんて謂われたりもします。
なるほど、それはもっともだ・・・と思ってしまいそうです。いや、もっともな部分はあると思うのですが、じゃあ旬の物だけ食べていれば良いじゃん、と思ってしまう前にもうちょっと考えた方が良いことがあるようにどらねこは思います。


■昔ながらの旬
そのためには昔ながらの食卓に向かい合ってみるのが良いんじゃないかな、と思います。
例えば、一部地域を除いて日本という国は冬が寒く、夏は暑いという特徴を持っていますので、通年収穫できるような農作物というのはあまりありません。そして、保存性が優れている農作物であっても、旬に採れたものをすぐに消費した方が栄養価的に優れている*1ことが多い事は謂うまでもありません。

では、そんな昔の日本では旬の食べものばかりが毎日の食卓にあがっていたのでしょうか?


答えは否です。昔ながらの料理には、保存食が多い事ですぐに分かることですよね。特に冬などは塩蔵や乾燥させた農作物を利用しながら堪え忍んだと考えられます。食材が豊富に採れる時期の食事とそうでない時期の食事の栄養価を比べたらどうでしょうか? つまりはそういうことですね。

次にこんな例を考えてみましょう。過去の食品成分表と比較して
「この野菜の栄養価は少なくなっている。これは品種改良や旬でない時期の野菜を含めた平均になっているせいだ」
と述べて、旬に食べる事を推奨するような人がいらっしゃいます。では、野菜があまり採れない時期に、昔から伝わる旬の野菜だけで構成された食事で、店頭に並んだ様々な野菜をつかった料理と同じように栄養価の高い食事を手軽につくる事ができるでしょうか?
どらねこは難しいと思うんですよね。農産物の旬の時期って、その地域によって重なっている傾向があるんです。だから、いろんな地域のものを食べる事や、ハウス栽培をしたり、外国から輸入したりといろんな方法を組み合わせることが大事だと思うんですよ。


■通年栽培の恩恵
色々な農産物が通年店頭に並ぶことには様々なメリットがしっかりあるんです。本来採れる時期以外にも収穫できるよう工夫がなされる事によって、寒い冬でも栄養価の高い食事を多くの人ができるようになったわけです。こうしたメリットを無視した、極端な旬の食べもの推奨はちょっと歪じゃあないかとどらねこは思います。

旬の食べものは確かに美味しいし、栄養価が高い!それなら、その時期には多めに食べれば良いのだし、山菜のようなものであれば、その時期だけの楽しみにすれば良いのです。それは別に両立できないものではないのですからね。

*1:例えば、昔の貯蔵技術だと穀物であっても梅雨越しすると著しく栄養価が低下したり、カビが生えたりして鮮度が大幅に劣化したりします。また、塩蔵も塩分過剰や特定のビタミンやミネラルの流出など栄養価値は低下するものがけっこう有りますね