朝の生ジュースは健康に良いって本当?

朝の情報番組にて朝の生ジュースを好意的に紹介しているのをどらねこは目にしました。番組ではカロリー制限なりダイエット効果が抜群、食物繊維を十分に摂れ、栄養素も十分に入っていて、忙しい朝にぴったりという事でその魅力とレシピなどを紹介しておりましたが、果たして朝食のかわりになるようなものなのでしょうか。
健康効果について酵素を十分に摂れるという点を図解で説明しておりましたが、酵素栄養学の考え方*1を元にしたもので、なんの根拠もありません。これについては過去記事で言及しておりますので、参照して頂ければと思います。→http://d.hatena.ne.jp/doramao/20110306/1299405916


■栄養素たっぷりなの?
今回は、本当に忙しい朝の朝食の代わりになるのかという事について検証してみようと思います。
どの栄養素がどれぐらいの量含まれていれば「栄養素がたっぷり」といえるのかはよく分かりませんので、日本人の食事摂取基準2010に示されている1日分の推奨量*2と比較してみようと思います。
1日に必要な栄養素の多くは、朝食・昼食・夕食の3食を中心に間食などからなりたっておりますが、ビタミン・ミネラルは3食で十分確保する事が特に大事になります。3食にわけて摂取しますので、それぞれで1日の推奨量の33%程度を確保したいところですが、朝食は少ない量が一般的ですので、25〜30%くらいを確保できれば上出来だとどらねこは考えます。


■比較してみよう
ところで、比較するためには生ジュースのレシピが必要になります。ネット上で見かけた生ジュースを参考にどらねこが栄養価計算をしてみました。分量はちょっと多めの約300gほどで、3種類のレシピを1日の推奨量と比較してみます。30%のラインを目安に見比べて下さい。

【ジュースA】
人参 100g  りんご 150g  セロリー 50g


ビタミンAは1日の推奨量を超えていて、食物繊維も良いセンをいってますが、他の大事な栄養素の充足率はどれも20%未満です。


【ジュースB】
豆乳 200g  キウイフルーツ 80g  はちみつ 10g



こちらはビタミンCと鉄とカリウムはそれなりに摂れますが、食物繊維とビタミンAは少なめです。


【ジュースC】
バナナ 120g  マンゴー 80g  トマト 100g


ビタミンはそこそこですが、若い女性が不足しがちな鉄分が少なめです。


■総評
食物繊維はそこそこ、お世辞にも栄養たっぷりとはいえません。レシピによっては特定のミネラルやビタミンが豊富な物もあるかもしれませんが、人間が健康に生きていくために大事なたんぱく質と脂質を十分に摂取できないという大きな欠点があります。それもそのはず、多くの野菜や果物はその90%以上が水分で、効率よい栄養摂取には向かない食材なのです。そうなると昼食と夕食で必要なビタミン、ミネラル、たんぱく質等を確保しなくてはならないのですが、体重が気になり食事を控えているヒトでは残りの昼食と夕食で十分に摂る事は非常に難しいでしょう。また、カルシウムや鉄は普通に食べていても不足しがちな栄養素なのです。
忙しい朝に何も食べないよりも生ジュースを!という主張であればそれなりに意義はあると思いますが、番組で栄養素たっぷりと紹介されたことで、「これで健康的に減量(ダイエット)できるぞ」と誤解してとびついてしまう危険性なども心配されるでしょう。
朝食抜きよりははるかにマシですが、これで十分な栄養を・・・と思ったら大間違いです。こんなに簡単に栄養摂取ができてしかもダイエットに良いなら・・・と、今まで朝食習慣を崩すことがあればそれはとても良くないことです。いくら娯楽番組とはいえ、こうしたデメリットを伝えないような放送スタイルは望ましくないとどらねこは思います。

*1:酵素の解説をしていた大学教員の方についてはその著書を見れば精製糖を悪者あつかいしたようなものもあり、なんとなく察することはできます

*2:ターゲットは若い女性だと思いますので、18〜29歳女性、生活活動強度ふつうを基準値としました。推奨量*と書いてありますが、エネルギーについては推定必要量、カリウムと食物繊維は目標量です。