もったいない?



茹でてしまうと大切なビタミンが流れ出てしまいますよ。だから蒸し野菜にして美味しく頂きましょう!肉なら余計なアブラも落ちますし、とってもヘルシーなんですよ。

こんな感じで、栄養士や料理研究家の方などが登場して美味しくヘルシーな調理法を教えてくれるテレビ番組を見かけたりします。

■損耗
食品の微量成分は下ごしらえや調理の過程で捨てられたり、水に溶けたり、熱で分解されるなどして口に入るときにはもともと存在していた量から比べると少なくなっている事がほとんどです。このようにビタミンやミネラルなどが減ってしまうことを損耗と呼ぶのですが、食材の切り方や調理法など処理の工夫で減り方を抑えることができます。例えば、野菜を切ってから水にさらすと切り口から水溶性ビタミンが流れでてしまう可能性が高くなります。この時、切れ味の悪い包丁を使うと、野菜をつぶすように切る事になるので、水に栄養成分が流れ出やすくなると予想されますので、良く切れる包丁を使用することが奨められるわけです。脂溶性ビタミンだと、油と一緒に食べると吸収効率がよくなりますので、炒め物にして食べるとイイ!と謂われるのはそんなところによります。
ちょっと本題とは離れますが、料理人の方も食材の栄養うんちくをおしゃべりすることをよく見かけますが、どらねこは彼らのうんちくの多くは話半分に聞き流した方が良いと思ってます。食べ物は薬じゃないですからね。

■ヘルシー
ヘルシーという言葉って、結構便利な使われ方しているように思います。『野菜をふんだんにつかった簡単!ヘルシー料理』なんて書いてある本を目にすれば、なんとなく健康になりそうな気がしてきて思わず手にとってしまいそうです*1。このヘルシーのイメージがくせ者で、野菜タップリで肉をつかわない料理ならなんでもヘルシー料理に仕立て上げられるんじゃないの?なんて穿った見方をしてしまうほどです。まぁ、悪者に仕立て上げていると書けば大袈裟になってしまいますが、健康を謳った商品をみているとそんな事をいいたくなってしまったりもします。『よけいな油を吸い取ってヘルシー』みたいな商品がありますが、その油がよけいであるのかどうかの判断はちゃんとできているのかしら?なんて思ってしまいます。
脂質の摂取については、日本人の場合には総エネルギーの20〜30%ぐらいが良さそうだと国から示されているのですが、この範囲を大きく超えていないのならそんなに気にしなくても良い場合が多いと思うんですね。食べ物からの脂質の多くは中性脂肪と呼ばれるもので、それを構成している脂肪酸によって細かく分類されます。脂質と健康の問題は簡単には論じられないのですが、おおむね飽和脂肪酸を控えることと、総エネルギーに占める脂肪の割合を適度に抑えることが大切との共通理解になっているようです。日本だと揚げ物の油には飽和脂肪酸の割合の少ない植物油をつかう事が多いのですが、取りすぎでなければ無理に吸い取らせる必要はあまりなさそうに思うのですね。本当に余計なのかしら?と余計なお世話で心配してしまうわけです。
ここでちょっと誘導的なお話しをしてしまいますが、脂溶性ビタミンの多くは、同時に脂肪をとることで、効果的に吸収されることがしられているんですね。油を吸い取るシートや脂肪を抜く処理をやりすぎると、それこそ大切な脂溶性ビタミンを抜いてしまう事にもなりかねません。

■選択肢
栄養成分を損なわないとか、消化吸収を良くする、不要な成分を取り除く・・・等々、様々な調理方法を伝える事って素晴らしいと思うんですよね。どらねこがどうしてそう思うかと謂うとそれは選択肢が広がるからなのです。ところが、新しい調理法を奨めるあまり、特定の調理法や食材を悪者に仕立て上げるようなやり方を採用しちゃうと、大事なことである選択肢を広げると謂う事が逆の方向に向いてしまうんです。

生野菜だと沢山食べるのが難しい→温野菜
茹でるとビタミンが・・・→蒸し野菜
肉はコレステロールが→野菜中心
油の取りすぎは危険→ノンオイル

選択肢を広げるはずの新しい提案が逆に選択肢を狭めてしまうと謂うのはとても不幸なこととどらねこは思うんですよ。
蒸し野菜は確かに柔らかくて美味しいけど、生野菜独特のシャッキリとした歯ごたえを楽しめませんし、茹で野菜よりもビタミン豊富、カリウムたっぷりかもしれませんが、美しい彩りは楽しめないでしょう。
今の自分には何が必要なのか・・・より健康により楽しく暮らせるように色々な選択肢があって良いとどらねこは思います。

*1:どらねこは近づかないけど