カルシウムと結腸がんについてちょこっと

半分自分用メモ的記事です。

食品安全情報ブログ12月16日の記事より*1

学校での牛乳は大腸がんリスクを下げるかもしれない−ニュージーランドの研究
SMC

School milk may lower colorectal cancer risk – NZ research

December 16th, 2011.

http://www.sciencemediacentre.co.nz/2011/12/16/school-milk-may-lower-colorectal-cancer-risk-nz-research/


最近の研究が、かつて行われていた学校でミルクを提供する計画−今日Fonterraが発表したのと同じような−がNZの大腸がん予防にやくだっていたかもしれないことを示唆する

Fonterra社が110の学校で来年の一学期に無料のミルクを提供するパイロット計画を発表した。Fonterraが引用したミルクの健康への利点は、最近のニュージーランドの研究でかつての学校ミルク計画による大腸がんリスクへの影響を調べたものである。American Journal of Epidemiologyに発表されたこの研究では学校で毎日ミルクを飲んでいたヒトの大腸がんリスクが30%低いことを示唆し、リスク減少の程度は学校にいる間に300mLボトルを1200以上飲んでいた集団で大きい。この研究では大腸がんと診断された562人の30-69才のニュージーランド人と対照群との比較に基づく。1937年から1967年にかけてニュージーランド政府は毎日284mLの全乳をほとんどの生徒に無料で提供していた。この計画に参加していたのは1932-1962年に生まれた人である。

実際に牛乳を飲んだこと自体が大腸がん予防に貢献していたのかまで確実に謂える研究では無いと思いますが、面白い調査結果だなぁと思います。もし低下に関連していたとするならば、どんな事が考えられるのかしら?
まぁ、色々と考えられるのですが、学齢期に牛乳を一定量以上飲むことによりがん発症リスクが低減されたのかもしれませんし、学齢期に牛乳を飲む習慣がついた事で、その後の牛乳摂取量向上につながり、それががん発症リスクを低減させたのかも知れません。
次に考えるのが、牛乳として飲むことが良いのか、それとも牛乳中の成分ががん発症に関わっているのかどうかです。カルシウム摂取と結腸がんの関係を調べたところ、カルシウム1250mg/日摂取群では500mg/日群に比べて遠位結腸がんのリスクが低かったと謂う報告*2があるので、カルシウムが関係している可能性があるでしょう。また「健康食品」の安全性・有効性情報と謂うウェブサイトのカルシウムの項目*3でも有効性を示唆する論文がいくつか示されていたりします。メカニズムとしては、カルシウムが腸管内の遊離胆汁酸および遊離脂肪酸の濃度を低下させ、細胞毒性を減少させる可能性が考えられるでしょう。とはいえ、調べた範囲では確実に低減するとまでは謂えないようです。

Fonterra社はニュージーランドの乳業会社で、世界最大の乳製品会社といわれる程の企業のようですので、牛乳業界の陰謀だ的な事を謂う人もいそうだなぁ、なんて思ったりもするけれど・・・。とはいえ、骨粗鬆症の予防には若いときの最大骨量を如何にして高くする事ができるかが課題とされているわけで、そのような取り組みが子供の将来に良い影響をもたらすのならそれは良いことだなぁ、と思ったりもするわけです。勿論、同時にそれによる悪影響なんかも考慮しないといけないとおもいますが。

こういった話が乳製品を極度に嫌う方々には受け入れられにくいとは思いますが、興味深く健康への影響を見ていきたいなぁとどらねこは思います。

*1:http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20111216#p7

*2:Wu K, Willett WC, Fuchs CS, Colditz GA, Giovannucci EL.Calcium intake and risk of colon cancer in women and men.J Natl Cancer Inst. 2002 Mar 20;94(6):437-446.

*3:http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail39.html