ごっこあそび

ゴッコ汁と謂う料理をご存じでしょうか。冬の北海道南で人気のあるもので、『ごっこ』と呼ばれる魚を醤油味の昆布だし汁にブツ切りにして煮込む鍋料理です。
ごっこの正式名称は『ホテイウオ』といいまして、カサゴダンゴウオ科ホテイウオ属の魚です。

こんなツラをしていまして、ぶよぶよのネトネトです。

立派な吸盤を持っております。岩に付着しながら泳ぐのでしょうね。普段は深い海に暮らしていて1〜3月頃になると産卵の為、浅瀬の岩場に上がってくるとのことです。そこを捕まえて美味しく頂くのですね。

なので、メスは卵巣がパンパンになっていて、お腹の中の大半はたまご状態です。内臓と卵巣を取り出した『ごっこ』はへたってしまいます。
次に、表面のヌルヌルを取り除く為に上から熱湯を注ぎます。

哀れな姿・・・
なんと、元の大きさの半分ほどに収縮してます。まるでゴムだな。

■鍋料理に仕立て上げる
鍋に昆布を入れ煮立て、醤油、みりん、お酒等でダシをつくります。ちょっと濃いめの味付けにしておきます。
収縮した『ごっこ』はブツ切りにして野菜と一緒に鍋で煮込んでいきます。


美味しい香りが漂います。ゴムのような皮はモフモフとろ〜りプルップル。
■お腹におさめる

見てくれこのプルっプルっぷり。
ゼラチン質の皮がお口の中でふるふるネットリ、少ないながらもシットリととろける様に柔らかい白身が口の中でほのかな甘みを奏でます。
『うめぇ』
いっぱいに詰まった卵巣は汁の中でポロポロに崩れますが、ほんのり粘りをもってダシと一緒に飲み込むと口の中でプチプチ心地よい食感のあとなめらかで濃厚な卵の味が広がります。
『うめぇ』
ゼラチン質の皮から溶け出した成分がダシになめらかさと濃厚さ、そして保温効果を生み体全体を温めてくれるまさに冬にふさわしい鍋料理だと思います。
勿論、コラーゲンを食べたからと謂って肌のコラーゲンを補う事は出来ませんので、そんな期待はしないで下さいね。
純粋に食材の旨さを楽しんで欲しいですね。ちゃんちゃん!