洗米は冷たい水で手早く

先日、ツイッター農家こうめのワイン管理者のkoumeさんがこのような事を呟かれておりました。

このコメントに対して、どらねこを含め数人が反応されておりました。
実は、どらねこも以前、精米技術の向上について聞いたことがあり、それ以来お米は洗うだけにとどめて炊きあげるようにしておりました。そのさい、まったく信憑性に欠ける自分自身による官能検査を行ったところ、軽く洗ったお米と研いだお米(ゴシゴシは研いでません、お米が割れれば不味いのは当たり前ですので)に大きな違いは見いだせませんでした。寧ろ、洗ったお米の方がもちもちでツヤツヤであったような気がしました。(気のせいかもね)
その後、洗うだけの処理で炊飯をするようになったのですが、家人からはご飯に対して何も反応は有りませんでした。「どう?」と、聞いても「別に何もかわらないとおもうけど」という感じでした。
少なくとも大きな違いは出ないのだから、作業が簡略となる洗う操作の方が良いんじゃね?というのが、どらねこの意見です。

ちゃんとした官能検査法を用いたデータをどらねこは持たないので、結論は出せないのですが、アタマの体操をしてみました。

■なんで研ぐの?
『お米をとぐ』と呼ばれる作業は何の為に行われるのかというと、お米に付着したぬかやごみを除去する事を目的としております。ぬかに含まれる油分をある程度取り除かないと、炊きあがったご飯に好ましくない臭いが残ってしまうとされております。昔は精米した後でも、異物やぬかの油分がかなり残っていたみたいで、それをこすり落とす必要性があった名残なのではないか、とどらねこは考えます。

■美味しく炊きあげたい
美味しくご飯を炊きあげるコツは色々とあると思いますが、今ではIH炊飯器様が上手に炊きあげてくださいますので、炊飯釜に投入するまでのコツが求められるのではないでしょうか。
多くの方は粒が揃って適度にモチモチとしたご飯を美味しいと評価するみたいです。そのようなご飯を炊きあげるために必要な下処理が、お米を洗うことと、吸水作業です。

■吸水
洗ったお米は水につけて吸水させますが、これはお米に十分に水を含ませることで、加熱した際にむらなく均一にデンプンを糊化させる事が出来るからです。十分な吸水を行っていないと、加熱により表面だけが糊化してしまい、中心がしっかり糊化できないシンのあるご飯が出来上がってしまう可能性が高くなります。
お米が割れていれば、吸水も加熱も早く進んでしまいますし、くだけたデンプンが溶け出してべしゃべしゃした食感をもたらし、均一な炊きあがりは期待できません。このことからも、あまりゴシゴシこすらない方が良いのでは?と推測されますね。

■ぬか臭の除去
では、ぬか臭があるとして、それを効率よく除去するためには、どのような操作が求められるのでしょうか。すこし考えてみました。
表面についたぬかを洗い流すのですから、お米を水に入れて洗うか、こすり併せると良い、というのは想像がつきます。しかし、洗っている間にもお米は水を吸収しその際にぬか臭も一緒に吸収されるのです。
教科書的には、水につけて1分間の間にお米重量の約10%ほどの水を吸収するとされております。ですので、お米を洗う際には初めに入れた水は素早く交換してあげることが、ぬか臭を付着させないコツになると考えられます。この事からも、長い時間をかけてゴシゴシ研ぐことは不適であると予想されますね。
もう一つ、水温が高いほど吸水されやすいというのも忘れてはいけません。10分間の水浸実験では、5℃の水では吸水割合が約16%であったのに対し、30℃の水では約26%も吸水されておりました。

【まとめ】
■洗米はお米がわれないように、優しく洗うこと
■水の交換は素早く
■洗米の水は冷たい方がよい

如何でしょうか、なんとなく研ぐのをやめてみたくなりませんか?
実際にやってみたよ!もうやっているよ!という方がいらっしゃいましたらご意見や感想、反論等を頂けると嬉しいです。

−おまけ−
米のとぎ汁を使ってアク抜きを・・・というのは、よく見かけるんだけど、アレはコロイドの吸着作用を期待してのモノだとは思うのですが、タダのコロイドで良ければ小麦粉でも牛乳でも良いと思う。お米ならではというものがあるのなら、それは何だろう。糠の多孔質に吸着させ、食材に戻さないというのがあるのだろうか。最近のお米は奇麗に精米されているから、昔ほどアク抜き効率が良くない・・・なんて事があるかも知れない?

※参考資料※
朝倉書店:米の科学(1995)