胃瘻栄養に思うこと

酔っぱらいの戯れ言ですが、日頃考えている事などを何となく書いてみようと思います。
施設入所が適用となるような高齢者を考えた場合、胃瘻チューブを挿入する手術を行う決断をするのってなかなかに難しい問題だと思います。状況は様々だけど、家族が選択を迫られる時って、大抵は本人が意思表示できない状況だからですね。なのでその選択は家族の意志に掛かっております。
■病院での胃瘻
要するに、ある家族は胃瘻栄養を望んだから手術を行う事も有り、またある家族は望まないから手術を行わない事もあるのですね。で、問題は家族の選択に社会的要因が加わることです。例えば、これ以上ウチの病院に入院を望むなら胃瘻造設を検討して貰わないとこまります、というような選択を迫る場面が特定の病院に於いて実際に生じていると謂う事です。そして、胃瘻造設術が行われ、数週間から数ヶ月の入院生活を送った後、老人ホームへの入所が薦められるという流れがあったりします。
そんな病院が胃瘻を薦める理由の一つに、介護力の不足という面と、長期入院を好ましく思わない風潮や療養病棟の縮小といった流れがあったりします。簡単(簡単すぎますが)に謂うと、マンパワー不足の病院が食事介助に時間をとられる状況の高齢者に適切なケアを行えない為、胃瘻栄養で確実に栄養補給をできるようにして、体力回復を促し入院の必要性を無くし、老人ホームへの道筋を・・・そんな流れにのせる為に胃瘻栄養を薦めるという事があるのが問題なわけです。家族としては断ったら在宅介護しかないと謂われれば、断ることは困難です。
■老人ホーム入所者
老人ホーム入所者では家族に対して胃瘻を望むか望まないか事前に希望を伺う事があります。なるべく家族の意向を尊重したいので。
その時、色々考える事があります。
本人の意思確認が難しい高齢者になると、本当に家族の意志で決まってしまうことが多いのです。良い悪いという話ではなくて、本人の命の長さが家族の選択に左右されるのですね。哀しい話ですが、本人の年金受給額が入所に関わる費用を大きく超えている場合などでは、家族が強く本人の延命を望む場合があります。逆に費用の捻出が難しい家族の場合でしたが、全く延命治療を望まないケースも実際に目にしました。
このような話を見聞きして悩むことは、胃瘻栄養を行う事で本人の生活の質が向上した事例を何件か目にしているからなんですね。胃瘻造設手術を行うと、一生チューブからの栄養投与のままになると考えている方が結構いらっしゃいます。実際に、手術後は口からの食事を行う事のないまま一生を終えてしまう方も多いのですが、中には、十分な栄養摂取を行う事で健康を取り戻し、口からの食事が出来るようになった方もおりますし、口からの食事は出来ないまでも、体力が回復し、ベッド上の生活から歩けるまでに回復された方もおります。
■命って何だろう?
可能性があるから・・・そういってしまえば、重大な選択が出来なくなってしまう事も有ると思います。それでもヒトに命にかかわる選択って難しいと思うんです。だって正解なんて無いのだから。
若い頃の元気に溢れた命は大切だけど、自由に歩き回れない、ベッド上の命は大切ではないの?
こんな問に対して、明確な返答を行う事はできますか?
生まれたばかりの赤ちゃんに価値があって、年寄りには価値がない・・・そんな事なんて無いと思うんです。
自分の命を大切に思えば思うほど、答えが遠く離れていってしまうんです。