○○何個分の栄養が詰まった食品は△△何個分なの?

ネタ記事です


■マグロ9皿分
先日、なんとなくテレビを眺めていたらいわゆる健康食品の宣伝が流れてて「またいつものやつかぁ」なんて思っていたら、あんのじょういつものパターンなんだけど例えがあまりにもアレだったので感心をしたのでした。
内容はこんな感じです。

私たちの体を若々しく保つのにたいせつな栄養素DHA、1日の必要量1g*1をとるためにはマグロのお刺身だと9皿分も食べなければなりません。
それが「○○」(いわゆる健康食品の商品名)なら1日わずか6粒で、1日に必要なDHAをとることができるんです!


なるほど、9皿分も食べるのは難しいからサプリメントでとりましょう、というわけだ。納得、納得・・・していいの?
ここで納得しては業者さんの思うつぼです。
マグロはDHAが豊富な食品であるというイメージ*2がありますが、DHAは多価不飽和脂肪酸に分類される油であり、赤身のような脂肪の少ない部位にはあまり含まれておりません。マグロであればトロの部位に多い事が知られております。赤身100 gに含まれるDHAは食品標準成分表によれば、120 mgですが、トロ100 g にはなんと3200 mgも含まれております。トロだとわずか0.3皿分でOKです。いやぁ、余裕ですね。
 え、財布が余裕でない? いえいえ、イワシでしたら一匹およそ80 g を食べるだけで宣伝で謳っている量を確保*3できてしまいます。財布にも優しくて助かりますね。


■○○何個分をつくってみた
こういうのはレモン3個分のビタミンCとかレタス1個分の食物繊維という表現で既にお馴染みですが、ウソはつかないで消費者に沢山入っているだろうというイメージを与える技術としては巧みであると思います。
どらねこも架空の健康食品を考え、○○何個分ごっこをやってみたいと思います。



牛乳瓶50本分ですって、コレぜったい飲めませんよ。
やっぱりこのサプリを飲まなきゃダメなんですかねぇ・・・







いやぁ、それぞれの栄養素が豊富な食べものを探してみるものですね。
やっぱり食べものの栄養価を知っておく事はとても大事だと思います。

*1:食事摂取基準ではDHAのみの基準値は示されていない

*2:あるよね?

*3:季節により異なります

食育はだれのため?

管理栄養士パパの親子の食育BOOK』も発売から3週間、読んでくださった方からは概ね高評価をいただいており、嬉しいかぎりです。

子育て中の親御さんに役立つ本、というコンセプトで書いておりますので、ニセ栄養学的なものや食育の問題点を追求するような内容はあまり入れないようにしております。
そこでブログでは補足として、本の性格上入らなかった、栄養や食育の問題点などにも言及してみたいと思います。


■なんのための食育?
今回は『第1章 Q4 1日3食とらないとダメ?』で説明した、子どもの食事と栄養の特徴について、今の食育ではあまり配慮されていないことについて考えて見ました。
 このQ&Aでは、どうして子どもはキチンと3食をとる必要があるのかを述べていますが、だいたいこんな理由です。

成長するために、子どもはたくさん食べる必要があります。体の大きさの割に栄養をたくさん必要とするのですが、消化吸収するために必要な消化器官はまだまだ未発達です。
一度に食べられる量は少なく、蓄えておく機能も十分でないので毎食の食事をきちんと摂り、おやつも楽しみだけでなく栄養面に配慮した食事の補食として考えることが大事です。


 本の中では、十分な栄養をとるための工夫や、朝食が十分に食べられない状況を改善するためのアドバイスをさせていただきました。
 しかし、家庭の工夫や努力だけでは改善するのは難しい問題はいくつもあります。それを補うためには社会全体で子どもの栄養と健康について配慮して欲しいところですが、子どもにとって家庭の次に長い時間を過ごす、学校内での配慮がまだまだ不足しているようにどらねこは感じております。
 食育の目的の一つは、子どもの心身の成長ですが、それを支援するための学校なのですから、もう少し融通を利かせてあげてもよいと思うのです。


■朝食たべてる?
 小学校の食育でよくみかけるのは、朝ごはんの重要性を謳うものでしょう。中には文字通り、ご飯は良くてパンはダメというなんだかなぁ、というものもありますが、好きな方を選べばOKです。
 「毎日しっかりと朝食を食べましょう」というのは簡単ですが、休日が少なく労働時間が長めのお国柄ですので、どうしても家庭での生活時間は夜型になりがちです。そうすると気持ちよく朝早く目覚めるのはむずかしくなり、お腹もあまり空いていない、という状況がつくられます。
 これを家庭レベルでなんとかしなさい、というのが今の食育にありがちな問題点です。食育を推奨する側が社会に対して配慮を求めていくようでなければいけません。小さい子どもがいる労働者に対しては、夕方以降の労働を免除とか、家事のヘルパーさん無料券の配布(浅はかな思いつき)とか、子どもに朝食をしっかり食べて貰いたい親が、朝早く活動を開始できるような取り組みをして欲しいものです。状況をちゃんとつくってあげないと、ムリが生じて長続きしなかったり、無理がたたり体をこわす可能性もあるでしょう。そんな状況で食育もクソもないですからね。
 では、学校レベルで出来ることってなんでしょう? どらねこなりに考えてみました。


■栄養補給や食事環境にも配慮を
 「朝食をしっかり食べましょう」という文言は、毎食たべないと十分な栄養摂取が難しい子どもの体の特徴を考慮したもので、子どもの健康と成長を願うような意味合いであるはずです。もし、朝食を食べなくても十分な栄養が摂れて子どもが元気なのであれば、朝食を摂らないことを問題にする必要はなくなることでしょう。食育を行う目的はなんであるのか、というのを見失ってはいけません。食育は子どもや子どもを持つ親を自分の考える理想に沿って行動させるためのものではないはずです。
 この視点で考えると、朝食を十分にとることが難しい子どもに対する学校側の援助や環境作りは違ったものになりそうです。
 そんなわけで、どらねこが学校に期待する「食育」と「食事と栄養確保の支援」です。
 


その1:始業開始時間前に「飲み物・軽食タイム」を設ける
 早起きが苦手で、朝食をしっかり食べることが難しい子どもであれば、飲み物や軽食を家から持参するのもありじゃあないでしょうか。でも、その時間で食べてね、という感じ。栄養確保が大事だというのならそのための配慮は必要だよね。



その2:牛乳タイムは給食の時間に限らない
 子どもの栄養を考えると、牛乳などの乳製品は成長に必要なカルシウムを手軽にとるのに優れた食品だといえるでしょう。給食に合わないという理由で拒否をするのはもったいないと思います。お腹が空くような時間帯に牛乳や飲み物を補給する時間をつくったら如何でしょう。



その3:給食は子どもの意思を尊重しよう
 子どものためにといいながら、子どもの意に沿わないことを強要するのはよくありません。ましてや給食は個人の嗜好には配慮しきれないものですから。嫌いな物を残す事を非難しない。早く食べろと急かさない、残しても叱らないは基本でしょう。



その4:快適な環境で食事を
 極端に蒸し暑い環境では食欲が落ちるのは当然です。学校だからといって過酷な環境を子どもに強いてよい理由はありません。環境改善については前向きに考えて貰いたいですね。



その5:お米偏重にならない
 パンが好きな子はパンを提供しましょう。ご飯じゃなきゃ力が出ないとかアタマが良くならないとかそんなデータはありません。必要な栄養素を充足できるのなら給食として問題ないです。



その6:部活動など学校での活動時間が長い日にはおやつタイムを
 夕方までいるような場合でも学校での給食以外の飲食はダメ、というのは子どもの生理を無視した拘束ともいえるでしょう。おやつを提供するなどの配慮があってもいいのでは?


 どらねこの提案は如何でしたか? 現状では難しい項目も多いと思いますが、食育が大切だというのなら考えて欲しい問題であると思います。


■おわりに
 残念ながら、子どもの栄養状態も家庭環境によって差がついてしまうという現実があります。自分で環境を選べない子どもにスタート地点の差をつけないために、子どもに対する公的な援助はとても大切な物であると思います。親が家庭が、という食育に憂慮するのはその辺りなんですね。
 何度もしつこいですが、食育は子どもの健やかな成長のためにあるのだという基本は忘れてはいけないと思います。

 
 

食育BOOK発売されました



■ドキドキ
管理栄養士パパの親子の食育BOOK』が本日発売となりました。
地方に住んでいるのでまだ店頭に並んでいるところは見ていないのですが、ツイッターにて「売っていたよ」と画像付きツイートで報告をいただだいております。こういうのとっても嬉しいですねぇ。
皆様の期待を裏切らない出来になっていたかどうか、評価が下されるのはここからですので、本当にドキドキしております。
購入して下さった方の率直な感想、お待ちしております。


■今後のこと
各項目について、ページの都合やコンセプト、対象者を考えて割愛したものや採り上げなかった内容、詳しい解説などブログ記事にしたいなぁと思っております。
皆様からの要望なども参考にしようと思っていますので、何かあればコメントやツイッターにてお願いします。
では皆様よろしくお願いします。モフモフ

アンチ食育管理栄養士が食育本を書きました。



■管理栄養士パパの親子食育BOOK
本を書きました。2015年7月25日が発売予定日です。
http://www.amazon.co.jp/dp/4895958825

ニセ栄養学を批判するような本ではなくて、親子向けの実用的な栄養と食事の本なのですが、ちょっとした応用行動分析の手法を採り入れた食事環境の提案をしてみたり、コラムの内容はブログ読者がニヤリとしてくれるような内容を盛り込んでみましたのでブログの読者にも喜んで頂けるのではないかと思います。
自分の中でのキャッチフレーズは、アンチ食育栄養士の食育BOOKでして、「○年間待って下さい。本当の食育をお見せしますよ」と、現在の食育に見られる問題と考えられる点に対し、ようやく批判だけで無くどらねことしてまとまった形で提案ができたと思ってます。
ニセ栄養学と呼ばれるような根拠のない健康栄養情報に対しても、そもそも不安が解消されれば手を伸ばす必要も薄れるわけで、ニセ栄養学を叩くよりも不安解決という手段で挑みたいと思ったわけです。これは編集者の大西さんと共通認識でしょう。どらねこ任せになるとどうしても作者の書きたい内容優先になってしまいますが、そこは編集者の方が子育て世代のニーズを拾ってきて頂き、読みたい・知りたい内容が詰まった一冊に仕上げることができたと自負してます。
子どもの食事や健康に不安を持っている人や、これから子どもを持ちたいと考えている方にオススメな、メタモル出版専門医ママシリーズともども宜しくお願い致します。
http://www.metamor.co.jp/syuppanbu_index.html



■目 次
目次の紹介です。個人的にオススメ項目を赤字にしてます。

管理栄養士パパの親子の食育BOOK
●はじめに


コラム1 5つの「こ食」の意味


第1章:食事の基本
Q1 母乳(粉ミルク)だけでいいのは、いつまで?
Q2 離乳食の進め方を教えて!
Q3 離乳食を終えたら、大人と同じ食事でOK?
Q4 1日3食とらないとダメ?
Q5 おやつは、どういうものがいいの?
Q6 食事の時間は一定にするべき?
Q7 学童期からの食事はどうしたらいい?
Q8 バランスのよい食事ってどんなもの?


コラム2 旬の野菜の価値


第2章:食材と食品のこと
Q1 子どもの健康によい食品ってある?
Q2 肉や牛乳、砂糖は身体に悪いの?
Q3 子どもに不向きな食品は?
Q4 野菜や肉の安全性が心配です
Q5 化学調味料や添加物がこわくて……
Q6 ファストフードは食べちゃダメ?
Q7 カット野菜や冷凍食品を使ってもいい?
Q8 トランス脂肪酸って大丈夫?


コラム3 輸入食品の安全性

第3章:献立と調理のこと
Q1 なるべく和食にしたほうがいい?
Q2 塩や油は控えめにするべき?
Q3 子どもが食べやすい料理って?
Q4 苦手なものを克服しやすくするには?
Q5 頭がよくなる食事、身長を伸ばす食事ってある?
Q6 食中毒を防ぐ方法を教えて!


コラム4 腐敗と発酵の違い

第4章:食べ方について
Q1 食事をすすんでとろうとしません
Q2 よく噛むように伝えても飲み込みます
Q3 遊び食べ、食べムラが気になります
Q4 『ばっかり食い』ってよくないこと?
Q5 楽しく食べさせるために何か工夫したい!
Q6 何時間かかっても残さず食べさせるべき?


コラム5 食べ合わせの真相

第5章:食事のトラブル
Q1 食物アレルギーが心配です
Q2 子どもが即時型アレルギーかもしれません
Q3 少食の子には野菜ジュースやサプリがいい?
Q4 子どもが食べすぎるので心配です
Q5 無理なダイエットをやめさせたい!


コラム6 遺伝子組換え食品


 
最後になりますが、こうして本を出版できたのも旧ブログである「どらねこ日誌」時代からコメントやブックマークを付け、支えてくれたり励ましてくれたりした「はてな民」や読者の皆様のお陰だと思っております。今後ともとらねこ日誌を宜しくお願いします。

牛乳は血液?

どうもお久しぶりです。久しぶりでブログの書き方を忘れてしまっているどらねこです。お仕事も一段落したのでリハビリもかねてちょっとした更新です。


■牛乳は牛の血液からできている?

 牛乳について調べ物をしていると「牛乳は牛の血液からできているんだよ」という話を良く目にします。中には「牛乳は牛の血液からできているので、牛乳を飲むのは牛の血を飲むようなものだよ」という、いやんと思ってしまうようなものまでありました。

 確かに、乳腺細胞には栄養や水などが血管を経由し血液から供給されるわけですから、血液由来というのはおかしくもない表現ではあります。しかし、それは殊更強調される必要のある情報なのでしょうか?
 血液由来といえば、涙もそうですし、汗もそうです。おしっこだって血液由来といえるでしょう。解剖生理学的知識としては知っておいて損のない情報ですが、これが実生活での牛乳を評価する上で何か参考になる情報かといえばそれは疑問だと思います。


■血液飲んでる?
牛乳が血液からできているとすれば、それを飲むということは血液を飲む事と同じ・・・、そこまで極端ではないにしろ、血液由来のものを飲むというのはイメージとしてはマイナスの印象を持つ人が多いように思います。そういう意味で、どらねこは「牛乳は牛の血液」とか「母乳はお母さんの血液」というような例えがどうしても受けつけないんですよね。

感情的な話では説得力がありませんので、牛乳の成分に着目して考えてみましょう。そうすれば牛乳は牛の血液という極端な表現については妥当なものではないと分かっていただけるのではないかと思います。


牛も人間も体の中を流れる血液には栄養成分や、血球であったり免疫細胞であったりと血液には生きた細胞が数多く含まれております。
ところが、牛乳など乳腺細胞から分泌された液体には、栄養素などの固形成分は含まれるものの、赤血球は含まれませんし、免疫細胞などもごくわずかしか乳汁中には出てきません。大量の赤血球が酸素を運ぶという血液の持つ特徴と大きく異なります。

「牛乳は血液である」という言葉からうけるようなイメージと、血液が由来ではあるけれど乳腺細胞がつくりだし分泌された牛乳(乳汁)の特徴は合致するものではない、というのがどらねこの見解です。



血液に占める血球などの細胞成分の割合は40〜45%程とされており、その役割はとても大きいものです。それを殆ど含まない牛乳(乳汁)を血液と呼ぶのは妥当な表現ではないですよね?
ちなみに、細胞成分が少ないということは牛乳はプリン体のあまり多くない食品だともいえるでしょう。痛風の人も安心(?)して飲んで大丈夫*1です。

*1:太らない範囲で飽和脂肪酸量に気をつけながら

スクリーニング

この記事は旧ブログどらねこ日誌に2009年4月28日掲載した記事を体裁を整えほぼそのまま転載したものです。
最近さっぱり更新していないくせになぜ今頃?と疑問に思われそうですが、言及先の人が最近牛乳有害論の本を出したそうなので、こういう人ですよと紹介するための再掲でした。表現等稚拙なところもあるかと思いますがご了承下さい。

■佐藤章夫さん
この方、牛乳有害論の老舗で牛乳だけでなく現代的生活は体を害するというスタンスで独自の健康情報を配信し続けていらっしゃいます。

貴重などらねこ日誌読者のMAMORUさんから、彼の運営する「生活習慣病を予防する食生活http://www.eps1.comlink.ne.jp/~mayus/index.htmlというwebサイトを斬っていただきたい」というご要望を頂きました。どうやら高糖質食で糖尿病が良くなるという主張もされているようです。当該ページをチラッと見てみましたが、かなりの香ばしさがただよっておりました。さて、どうしたものでしょう。※本記事の引用文は佐藤氏のウェブサイトからのものです。

メタボリックシンドロームを予防する食生活

肉・脂肪の摂取量が多くなるとインスリンの効き目が悪くなって、身体がインスリンの分泌を増やせと要求します。このインスリン分泌の増加によって肥りはじめやがて糖尿病へ。糖質(炭水化物)の摂取量を多くすると、「高炭水化物食」→「インスリンの効き目がよくなる」→「少ないインスリンで心身が活動する」→「インスリンの分泌が少なくなる」→「肥らない」というサイクルが回転してメタボリックシンドローム(内臓肥満症候群)を予防します。もちろん、糖尿病患者の食事は穀物中心の高炭水化物食にすべきです。その証拠をご覧ください。

証拠をご覧下さいとの事です。
早速読み進めてみました・・・が、すぐに頭が痛くなってきてしまいました。面倒くさがり屋のどらねこは既に検証意欲が失われてしまいました。

メタボリックシンドロームを予防する食生活より
http://www.eps1.comlink.ne.jp/~mayus/lifestyle2/metabolic.html

日本人の食生活の基本は古来、「穀物+大豆+野菜(+魚介類)」でした。日本人は、過去1000年以上にわたって、コメをはじめとするデンプン(糖質あるいは炭水化物)が主成分の穀物に支えられてきたのです。

日本人が何世代にもわたって自らの身体で安全性を確認してきた食事が安全な「日本人の食事」です(上図)。この食事に見合うように日本人の身体が変化・適応してきたのです。穀物を中心とするこのような「日本人の食事」を「粗食」と呼ぶ人がいます。この食事はたしかに質素・素朴でありますが、決して粗末な食事ではありません。「日本人の食事」は「素食」(基本的な食事)であって「粗食」ではないことをご承知おきください。この「素食」を続けていればメタボリック症候群にはなりません。

1000年前には何人の祖先がいたか
1000年という時間の長さはなかなか実感できません。そこでつぎのように考えてみましょう。



私たちひとり1人に2人(2の1乗人)の親がいます(両親)。その母親と父親にもそれぞれ2人の親(祖父母)がいました。すなわち祖父母は4人(2の2乗人)です。その祖父母にもそれぞれ2人の親がいました。曾祖父母は8人(2の3乗人)、曾々祖父母は16人(2の4乗人)になります。ヒトはだいたい30歳位までに子どもをつくりますから1世代を30年としましょう。30年毎に祖先は倍々に増えます。1000年は33世代に相当します。したがって、1000年前には2の33乗人の祖先がいたことになります(約86億人)。1000年間に存在した私たちの祖先は[2の1乗+2の2乗+・・・+2の33乗]人になります(2の34乗-2=172億)(上図)。


日本人の食生活の原型が1000年前に成立したと仮定すれば、この食事は172億人の祖先が食べ続けてきたものです。日本人はこの食事で考え、遊び、働くようにできているのです。この食生活は、明治維新によって西洋文化が導入されても基本的に変わることはありませんでした。それが過去40年という短期間で一変してしまったのです。私たちは、今、172億もの先祖が食べ続けてきたものを捨てて、祖先が全く知らなかったものを食べるようになりました。

172億人が食べてきたそうです。すっごいインパクトですねぇ。
おもわず信じちゃいそうになります・・・ってなるか!!

これを持ち出す時点で、この人は情報を有効的に取り扱えない人であることを宣言しているようなモノです。だから、どらねこは他に書かれたことを批判せずに済むのです。全部デタラメの可能性が高いですからね。あ〜〜良かった。

え、何がおかしいかですって?
算数も満足にできないアホな猫でもわかりますよ。
172億人でも十分おかしいのですが、その一世代前、借りに1030年前を想定してみましょう。先祖さんはさて何人でしょう。
ええと、約354億人でございますね。
たった30年で172億人も増えてしまいました。
この計算をあと2世代もさかのぼれば、過去に存在したであろう人類の数を軽く超えてしまうことでしょう。

この計算には様々な問題点があるのですが、一番の問題点は血縁関係が全く存在しないことが前提になっている事です。分かり易い例を考えてみましょう。

ある人は両親がいとこ同士だったとします。この人の4代前の祖先は何人いるでしょう?

4^4−2^(4−2)=12

 
この場合は両親が非血縁者であった場合の16人より4人少ない12人になります。

昔の日本では生まれた場所で生涯を終える、という生活が当たり前であったと考えられます。その地域に住む人は遠い近いあわせて、皆が親戚同士であった事でしょう。祖先を手繰れば、色々なところで絡まり合った網目になります。だから祖先の数はそのような莫大な数字にはならないのです

さて、あなたは彼の主張を信じられますか?
 
■間違えたくないから
なぜ本題ではなくてここに注目したのかというと、既に検証済の周回遅れの理論やトンデモ解釈ばかりで、一つずつ採り上げるのは面倒な割には益があまり見あたらないからという事なのです。
どらねこはアタマがおかしいので、普通の人だったらしないようなミスを連発します。それでも何とかやっていけるのは、でてきた数値なり、結果なりが妥当なモノかどうかを確認しているからなんです。いや、すごく当たり前のことであらためて語るようなものでは無いのですけれども。大抵の人は行っていると思いますし、俯瞰した後、細かい項目を点検するのですよね。(どらねこは細かいの苦手)
家計簿付けてて、今月の出費は150万円なんて結果になったら、計算ミスを疑うのは当たり前の話ですよね。ところが世の中にはまともな肩書きを持つ人でも出来ない人がいらっしゃる。
普通の人だったら「オイ、オイ」と思うような結果がでてきても普通に採用してしまうところです。トンデモデータをなぜか疑わず、これは誰も知らなかった事実であるようなぶっ飛んだ結論を導き出してしまうのですよね。そういう人はデータを適正に扱えない。だから、論文を引用していても参考にならない。例え、その元論文はしっかりしたモノでもトンデモ解釈を駆使して自分の考えを支持するデータに造り替えてしまう。
常識的理解を覆す理論を提唱している文章を目にしたときにそれがトンデモ解釈か否か判別したいわけですが、元論文に当たろうと思っても、ネット経由では手に入らなかったりすることも多いので、そこまでして検証するに値するモノなのかどうか本文を読んで判断するわけです、論理の導き出し方とか、提出されたデータが常識的な数値なのかどうか・・・そんなに時間もありませんし。
突飛なデータや解釈をまともに採用する人は、理論の裏付けとして採用した引用がトンデモか否か判断できる能力は無いとも考えられるわけで、そんな人の話は参考にする必要もないし、労力を掛けて検証する必要も無いわけです。科学リテラシーはもちろん、高い方が良いのですけれども、そういった知識が無ければ判断できないというものでも無いのです。厳密には切り分けられないのですが、実生活では十分役に立つと思います。どらねこも専門外についてはこんな感じで流し読み、アレ?どうなんだろうと思ったら、キーワードを入れて検索するわけです。

うだうだ書いてきましたが、落とし穴はそこかしこに有るわけで、自分も気をつけなければな、というオハナシでもあったりします。 

少なくとも、こんな人が書いている牛乳有害論の本ですよ、とわかればお金を出して買うのをためらって下さる方がいればと思います。

来年もよろしくおねがいします

どうもこぶたさんしておりました。
すっかり更新しなくなっておりましたが、元気です。
来年もしばらくはこんな調子と思いますが、どうぞよろしくお願いします。
記事をアップしない分、別の場所でコツコツと何かをやっているようですので、そのうち報告できるのではないかと思います。

では、みなさま良いお年を。